短編小説

□陵辱
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天人たちの内一人の指が抉るようにナカを掻き回す。
鱗を幾重にも纏う皮膚は固く、グチュグチュと厭らしく水音を奏でながら触れられるそこは敏感にも刺激を体全体に感じてしまう。
男が言った通り天人たちは確かに銀時の秘部を丹念に解している。
しかし、剥き出しの臀部から覗く秘部を見ている天人たちが、ただ男が入れやすいように解すだけでその昂ぶる熱を抑える事はできないだろう。
それを理解した男はここでも善人ぶりを見せる。
天人たちに特別に入れるように緩やかな声で指示を下す。
その命令が銀時には欠片も善意を振りまいているとは思えなかった。

「ああッ……、や、やめッ……ぅう」

ポッカリと開いた口から上がる制止の声も一瞬でも気を抜けば甘い声を上げてしまう。
それでも何とか拒絶の言葉を吐き出すと、涎と汗が入り混じった液を顎に伝わせる。
天人が指をまた一本増やしたのが分かった。
大きく開いた股に体を密着させ縦横無尽に指を引っ掻き回す天人の下肢のモノが大きく膨れ上がり、執拗に銀時の股に擦り付けている事に銀時はゾワリと気色悪い感触が肌を撫でた。
つい己の状況を忘れ上へと身を捩り逃げようとするが、それを銀時の頭上に腰を下ろす天人に両肩を強く押し留め封じられる。
その隙にまた一本指を増やされる。

「ッ……んんあッ、やめ、ろおォ……!」

言葉尻が消えていく声は力がなく、力の抜ける声と同調するように体の力も次第に弱々しく失われていく。
フルフルと小刻みに震えていく体を眺める男は今一体どんな表情を浮かべているのかは、余裕の消えた銀時には確認する事はできない。
そろそろか、と下肢付近で蠢く下卑た声を上げる天人が呟きズルリと三本の硬質な皮を持つ指を引き抜いた。
抜かれた衝動に苦しく詰めていた息が出口を見つけた穴から吐き出すようにして出された。
胸板の内側からドクドクと煩いくらいに暴れまわる心臓がまた苦しくて、銀時は落ち着かせようと深呼吸を繰り返したい思いだったが、それが無理な事は分かっていた。
この後に行われる行為など多少は女との経験がある銀時にも熟知しているし、雄を昂ぶらせる天人たちも早急に入れたいと思うのは常だ。
大きく反り立つ肉棒が姿を現すと、いよいよ銀時の弱々しかった抵抗も水を得た魚のように激しく蘇りを見せる。
大浴場やトイレで他人のモノを目にした事はあるがそれはあくまで己と同類の人間のモノ。
地球外生物である天人たちのモノなどはいつか見た屁怒絽親子の巨大なモノしかない。
それさえもかなりのグロテスクさと巨砲を有していた。
そんなモノと大差のないこの天人のモノをまさか己の大事なデリケート部分に入れるのかと思うと、顔色は蒼白に色を失せ、恐怖に顔を凍らせた。

「やめろッ……!いやだ!」

体の全ての力を足に込めて縦横無尽に暴れるように振り上げる。
足を抑えていた別の天人が油断したのか、蹴り上げられた体の一部に僅かに不愉快を抱いた目で銀時を見下ろす。
天人たちの屈強な体躯と薬により体の外部も内側も戒めで行動を制限された今の銀時では、虚を突いた一瞬の行動しか抵抗を許される事はなかった。
故に天人は力で難なく銀時を押さえ込むと再度不格好な態勢で天人の一物を受け入れるのを待つ雌のように股を暴かれた。
男がやや熱に浮かされた声で天人を急かす。

「さあ、早く入れたいでしょう?存分に入れてあげなさい」

ズプリ、と天人の肉棒の先端がゆっくりと秘部にめり込んだ。
うっ、とまるで腹でも殴られた様子で顔を苦悶に歪ませ、銀時は息を詰まらせた。
一気に埋め込むのではなく天人の皮膚の硬い性器が銀時のナカの粘膜を味わうように擦れる感覚が、銀時にはこの上なく不快で気持ち悪かった。
解されてはいたが狭い肉壁に入り込む異物は予想通り質量が大きく、巨大だったために銀時に苦痛を絶え間なく体全体に与えてくる。

「はっ……ふんん、ッ……」

息をするのも困難な圧迫感と痛みに、懸命に息を小刻みに吐き出しながら耐える。
こんなものは普通の性交とは違う。
ただの陵辱だ。
知らぬ間に目尻にうっすらと涙が溜まり流すものかと思うが、生理的に流れ落ちる雫は天人たちの嗜虐心を更に煽る事になる。
グチャグチャと卑猥な音が結合部分から鳴り響くのが、天人のモノが動き出した事を知らせる合図だった。
膨れた下腹部の中で肉棒が内蔵に衝撃を与えるように律動を開始する。
最初はゆっくり慎重に動いていたが、徐々に締まるナカの感触が良かったのか。
次の瞬間には最奥を突き上げられ振動で銀時の体が大きく揺れ動く。

「ひっ!ああアあッ……ぐぅ、んああ!!」

ズンっと奥を突かれる度に大きな悲鳴が引きつった喉から苦しそうに上がる。

「やあッ、め……がっ、ああアア!!」

ガクガクと震えるのは果たして快楽から来るものなのか。
はたまた恐怖と苦痛から体が痙攣を起こし、嫌がっているのか。
そのどちらとも可能性がある銀時の艶かしく反応する体を男は変わらない笑みを湛え見下ろす。
銀時の人を惑わすような淫らな体を見ていた天人が堪らず下肢から大きく膨張した性器を取り出し開いた口内に乱暴に捩じ込んだ。

「んぐ!……んんッ!!」

吐き出せなくなった苦痛を宿した嬌声。
喉の奥底まで押し込められた一物がガツガツと喉仏に何度も当てられ、生理的に吐き気が胃の奥から込み上げてきた。
ポロポロと最早堪える事のできない涙が涙腺から壊れた蛇口のように溢れる。
誰が見ても無様な姿の銀時に男は愉悦に浸った声を銀時に投げかけてくる。

「おやおや。犯されているのに感じているのですか?君は私が思った通り淫乱ですね」
「!」

男のねっとりとした視線の先には完全に勃ち上がりまるで快感に震える己の自身が、亀頭から次々と蜜を溢れさせていた。
己の気持ちとは正反対に反応する雄のモノに銀時は余裕のない頭だが、それでも捨ててはいなかった理性で羞恥を悟り顔を真っ赤に染め上げた。
その姿に男は楽しそうに肩を震わせ笑い声を上げる。

「ふふふ、恥ずかしいの?こんなに男のモノを咥えて反応しているのに?」
「ふっ、んぐぅ……っ」

必死に否定をするように頭を振ろうとしても、頭をガッチリと天人の無骨な両の手が押さえ込み、意思表示が塞がれた銀時。
銀時の状態を一番理解している男はおそらく分かっていても、銀時に男のとしてのプライドを粉々に打ち壊す気で更に銀時の精神を追い詰める。
本当は汚い男たちのモノを咥えて嬉しいくせに、とまるで耳元でヒッソリと息を忍ばせて囁かれた錯覚を感じ、バラバラになりそうになる理性が頭の片隅で残る羞恥を拾い上げた。
こんな事を俺は望んでいない。
俺は淫乱じゃない。
下肢から激しく体を前後に動かす天人の腰が骨を打ちながら銀時のナカを蹂躙する。
優しさも愛おしさもない。
ただ滾る欲望を目の前の性玩具として扱われる銀時の体に乱暴で、力任せにぶつけてくる。
熱い天人の欲の固まりである肉棒が内壁を擦られ銀時のナカにある前立腺に触れた時、否定したはずの己の男としてのプライドに自信を喪失しかけた。

「ンんん!!ふ、……んん!!」
「とうとう見つけられちゃいましたか」

男が欲を孕んだ眼差しを銀時に向けたまま嬉しそうに言う。
腰を穿つ天人の顔も先程までの無表情さは失せ、ニヤリと酷薄で残虐な笑みを厭らしく貼り付けた。
銀時のナカに埋め込む天人が最奥を突くのを一度止め、照準を変え先ほど触れた銀時の泣き所を執拗に責め立てる。
触れられる度に銀時は狂ったように掠れてくぐもった悲鳴を上げた。

「んぐ!ンっ、んん!……ぁあんン!!」

押さえ込まれる体を激しく揺らし感じた事のない快感の波をその身に受けて身悶える。
内壁は発汗した時のように熱く、秘部を中心に体全体に冷める事のない熱が拡がり頭が可笑しくなりそうだ。
後孔にある天人のモノが一際巨大化したのを粘膜が張った肉壁を通して体にビリビリと伝わる。
先ほどのものでも体はいっぱいいっぱいで、疲弊し、口に含めたモノもあるがために呼吸困難になりかかっている銀時には、最早肥大化し質量が計り知れないそれを受け入れる余裕は皆無だった。
力の入らない足を動かし天人の体を蹴りあげようとも足首は別の天人に掴まれた上砕けた下半身ではそれを試す事など馬鹿でもできない事に、銀時は気付いていた。
ドクリ、と両の口から脈打つ気配を感じたのと同時に身構えていていなかった銀時のナカと口内を通した喉奥に熱い白濁が放たれた。

「んんんンンんッ!!」

何の構えもしていなかった口内を通り喉に流れ込む白濁に盛大に咽せ、性器が離れ解放された口から少しも飲み干す事ができなかった精子たちを全て吐き出した。
その時、青臭さが残る口内に更に吐き気が込み上げ、胃の中の物も胃液に至るまで嘔吐する。

「うげェ……がはっ、ォええ……ッ」

銀時の今まで耐えてきた物を長い時間をかけて吐き出す姿にさすがの男も気分を害した様子で顔を顰めた。
まるで汚物を目にして嫌悪を顕にする潔癖症な人間の反応だ。
黄色い胃液が口端から顎にかけて零れ冷たい床に撒き散らかした吐瀉物を、銀時は混濁した脳内でぼんやりと眺めた。
口に射精された時に同時に吐き出された白濁が後孔からも、塞ぐ事が叶わない孔からトロトロと溢れ出す精液が開いた股から小さく水たまりを作り出した。
疲労と全身の痛みで銀時は弱々しく呼吸を繰り返し、体は感じたくはなかった快感の余韻に震えた。
男がコツコツとわざと聞こえるように靴音を鳴らしながら意識が混濁し放心状態の銀時に歩み寄ってくる。
それに最早威勢良く睨みを利かすほどの力も気力も削がれていた銀時はゆるゆると瞳を天井へと向ける。
電灯の明かりにより見下ろしてくる男の顔は逆光で、黒く影のようなシルエットで確認できない。
はーはー、と筋肉の張った胸を上下に動かしながら浅く息を繰り返す銀時の傍らに、男は膝を付き天人たちには感じられなかった優しい手つきで銀時の頬を撫でる。
火照った体には冷たいその掌が心地いいが、これが身近で親しい者の手なら良かったのに、と粉砕された理性の隙間から弱々しく思う。
男は瞳を細め慈しむ風で銀時に笑いかける。
頬を滑る掌の指が顎を捉え、クイッと顔を正面に弱いながらも強引に向かせる。
男の顔が再度近付く。
反射的に顎を引っ込め捩る銀時の行動が、力のない抵抗に見えたのだろうか。
男は嘲笑うように再び口角を引き上げながら銀時の耳朶に形の良い唇を静かに寄せる。

「まだ一人目ですよ。……あと二人、頑張ってくださいね」

まだ私も残っていますから、と最後に付け加えられたその言葉は銀時を静かに奈落の底へと叩き落とすには十分すぎる効力を持っていた。
その証拠に意識のはっきりとしなかった銀時の頭はゆるゆると覚醒し、微睡みを覗かせていた双眸は濃い絶望の色へと変わる。
その銀時の姿に男は隠しきれない欲望を能面のように笑う顔に滲ませた。

「君がこれからどのように壊れるのか、楽しみですね」
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