短編小説

□十年の執着
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全身打撲、出血多量、両手片足骨折。
見事なまでにボロボロな俺。
多少の流血は血も滴るいい男で済ませそうなのに、こんだけ手酷くやられてボロ雑巾の
ように床に転がされてる自分が今なら滑稽で腹抱えて爆笑しそうだなと、ボーッとする頭で床を見つめながら思う俺。
失血死を防ぐために上手い事刺さったまま抜かれないのは五寸釘。
それのお陰で冷たいコンクリートの床には全身傷だらけな己からはまだ少ない方の血が俺を中心にあちらこちらに飛び散っている。

(あー・・・ヤベ、意識朦朧としてきた・・・)

視界の端でニヤニヤと気持ち悪い笑みを浮かべているあの男はきっと次はどんな拷問をしてやろうかと考えてるに違いない。
俺はクイッと視界の端にあった男に視線を向ける。

(けどな、俺は例えどんな事をされてもテメエみてえな変態やろうに屈服する気はないんでな)

下降仕掛けた意識を浮上するために何本か欠けた歯を強く噛み締めた。

――そう、テメエの拷問は生温いんだよ・・・
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