短編小説

□家畜坂田の母乳性活
1ページ/2ページ

高い天井から一定の等間隔で薄汚れた笠を被る電球が吊るされていた。
鈍い光が地面に降り注ぎ、錆びてメッキの剥がれた鉄の囲いが明かりにより寂れた色を浮き上がらせる。
その空間は広く、幾つもの囲いの真ん中には乾いた牧草が無造作に敷かれていた。
何者の気配も感じないそこに一つだけ、蠢く気配と声が聞こえるのを確認する者はいない。
何故ならこの場にはその気配の持ち主以外いないからだ。
息を荒々しく吐き出すその人物の口からは意味の持たない言葉と、ぐちゅぐちゅと何かを掻き回すような水音だけが室内に響く。
汗で濡れた銀髪を一心に振り乱し、仰け反り女のように喘ぐこの男は坂田銀時。
彼はここ“銀ちゃん母乳製造工場兼牧場”の家畜だ。
乳を搾り製造し、販売する為にここが存在する。
価格はひとパック辺り千五十円、税込。
世間では買い占めがある程の人気の商品だ。
故にそれ目当てでここに来る者も少なくない。

「あぁう……ぃ、やァあ!!」

上がる悲鳴はもうずっと声を上げすぎた事が分かるほどに掠れていた。
胸の突起と自身の先を覆う器具が三ヶ所に装着されている。
更には後孔にも極太のバイブが埋め込まれていた。
ヴーヴー、と機械的な音を立てて傍らの機器が吸引する器具を付けたソコを吸い上げる。
彼の為に作られた特性の搾乳器だ。
自身も白濁を吸い上げられれば快感で乳の出も良くなるという訳である。

「はっ……んあああ!……ね、が…やめ……ッあ!!」

大きく開いたままの口から制止の声が上がるが、それに答える者はこの場にはいない。
孔を犯され続け快楽に胸の突起が起立しピュッピュッと乳がガラス容器に溜まっていく。
自身も亀頭付近を吸い上げられ、無理矢理イカされる行為が続き最早精巣の精液も出し切る始末。

「はンンッ、……ああ!!」

銀時は前の刺激にも後ろの刺激にも最早耐える事などできず、与えられる刺激に開発された躰で快楽を拾う事しかできなかった。
熱く疼いた後孔と激しく痛いほどの自身の刺激に、躰を大きく震わせひたすら嬌声を上げる姿を、誰も見ていない事を強く願うだろう。
暫くして、乳の出が弱まった。
搾乳器のガラスに溜まっていた白い液がある一定以上で溜まらなくなったのだ。
それと同時に機器の動きもピタリと振動を止め、静かになる。
銀時はそれに安堵したように息を大きく吐き出し、手足を牧草の上に投げ出した。
微かに冷たくひんやりとした地面から伝わる牧草の温度に暫し身を預ける。
鬱陶しい己の前髪を掻き分けることができなかったのは、逃亡防止の為に両手両足、更には首に家畜として繋がれた枷があるから。
それに忘れかけていた己の状況を思い出し、軽く鎖を睨めつける。
……これで今日の分は終わる。
長い間与えられていた快楽に頭が可笑しくなりそうだと銀時はぼんやりする脳内で姿の見せないここの主に舌打ちを送る。
家畜として扱われる自分はここから抜け出せるのだろうか。
いや、無理だろう。
ここにいる時から自分の運命は決まっている。
死ぬまで犯され続け、乳を出し続けるというなんとも滑稽で惨めな一生だろう。
だが仕方ない、それが家畜である自分の運命なのだから。
物思いに耽る銀時の耳に機械音が聞こえたのはその時だった。

「……え?」

静かだった搾乳器が再び音を立てて動き出した。
それに銀時は顔を青ざめ、全身の血の気が引くのが分かった。

「ちょ……むり……!いッ、ああん!!」

戸惑い機器から離れようとすればそれを止めるように振動と共に胸を強く吸い上げられた。
痛みに思わず悲鳴が上がる。
それと同時に自身も後孔のバイブもスイッチが入り、再び銀時を犯し始めた。
しかも今度は先ほどの比ではないほど強力な力で。

「あっ、ああっ!……ぃ、やああああッ」

締め上げられる自身と前立腺をゴリゴリと攻め立てられるソコを銀時にイキっぱなしの状態が躰を支配し始める。
嫌々、と頭を激しく振る銀時の抵抗など微塵も受け付けない無情な機器は更に搾り出すようにギチギチと音を鳴らし、胸から溢れる乳を吸い上げていく。

「もぅ……ッむりイいい!!あああああ!!」

目を剥き天井を仰ぐ銀時の瞳に映るのは己を照らす光のみ。
ヴィィィ、と音を鳴らし吸い上げられる乳は、孔に与えられる振動で絶頂を迎えた事により先程以上に出が良い。
タプンタプンと溜まっていく己の乳をぼやける視界に映し、気持ち悪さに銀時は思わず目を強く瞑った。

「ハッ、はあああ!あんッ!ああああ!!」

一度刺激が止まった事により油断していた銀時には、再開される愛撫とは程遠い行為を拷問のように感じた。
何故、こうも犯されなければならないのか。
上気した躰と熱に浮かされる頭で思考が巡る。
自分の喘ぎ声が遠くの方で聞こえる気がした。
けれど下肢に感じる快感は確かにそこにあって、自分が今ここで家畜以下のように扱われているという非情な事実を再認識させられる。
止まない嬌声は室内に響き、熱を浮かせた躰から滴る汗が牧草を濡らしていく。
もう限界だと言わんばかりに喉元を突き出し躰を小刻みに震わせる銀時に、機器は強弱を弱めた。
それに銀時はすぐさま張り詰めていた息を吐き出し躰の力を抜いてしまった。
先ほどの油断をした教訓を生かせないまま機器は次の瞬間強弱をマックスレベルまで上げた。

「ひゃあああ!!やァ、ッだアああああああ!!」

胸と自身と後孔。
全ての部位を刺激し、絞り上げられ銀時は躰を激しく痙攣させる。
開かれた足はつま先まで限界に外へ伸び、胸板はビクンビクンと跳ねる。
味わうように性器に吸い付く器具に吸い上げられるソコは既に液はない。
強い刺激に背を限界までしならせていた銀時は、次第に弱まる動きに疲弊した躰からまた力を抜いてしまう。
次に刺激が来る事に警戒する余裕などもうなく、少しでも強ばる躰を休めたいと思うのが本音だった。
よって少しの間の後に再度機器が動けば面白いほどに銀時の躰は反応する。
その姿を感情の持たない筈の機器が理解しているように強弱を操作しそれを断続的に繰り返していく。

「んああ!ッ、アアん!!ひっ、あああああッ」

絶頂に何度も達し、イカされ続ける躰は自分のものではないのではと思えるほどの卑しいものに思えた。
だらしなく涎を垂らし虚ろな瞳で天井を仰ぐ銀時は、考える事を放棄しそうになるほどの快楽と痛みに意識を飛ばしかけた。
その時。
室内の奥、重い頑丈な鉄の扉が音を立てながら開かれる。
そちらの方に意識を向ける余裕などない銀時はその扉から闖入してくる者の正体を確認する事ができない。
その者は淫らに腰を振る銀時の姿を見てニヤリと酷薄な笑みを浮かべた。
コツコツと靴音をわざと鳴らしながら、地面の上で足を開き善がる銀時の下に近づく。
宙を見つめる銀時の視界に顔を覗かせ声を掛けてくるその人物に銀時は枯れた声で助けを求めた。

「お……ね、が……たす、け……てぇ」

懇願するように涙を零したまま訴える銀時に、黒曜石のような冷たい瞳を細めその人物は答える。

「違うだろ。“気持ちいいからもっとシてください”の間違いだぜ?銀時」
「ち、ちが……ひゃう!」

慌てて否定する銀時の孔に埋まったバイブをグリッと動かす人物――土方は楽しそうに口元を歪める。
彼はここの工場兼牧場の主。
この絶対的な立場の違いに銀時は余裕のない頭を必死に使い、家畜として主に希う。

「お、ねが……す!た……け…ッ、さいィ!!」
「……何度言えば分かるんだろうなァ。その願いは却下だ」
「そ……ッんな……アアん!!」

冷たい言葉と同時にピンッ、と性器を弾かれ微弱な刺激にも反応する銀時の躰はブルリと反応を返した。

「ああ、そうだ。今日はお前に会いたいっていう人が来てる。今呼ぶからな」

立ち上がり扉に向かい声を掛けると、また重い扉が開かれる。
入ってくる者の気配は一つ。
草履をするような音を奏で歩み寄るその人物を銀時は涙で滲む視界に捉えた。
長い前髪を片方に流し、白い包帯を幾重にも巻きつけている人物。
土方の衣服が洋装ならこの男は本来の江戸の風体をそのままに表した和の格好だ。
何より目がいったのは土方と同じくらいの鋭い眼光、それも隻眼。
とてもこんな所に来る者の顔ではない。
だが、感心したように口笛を鳴らす仕草を見せるこの男が土方や今までここを訪れた者達と同じ性癖の持ち主なら、この後の想像は容易につく。

「ひぃ……ッ」

喉を引き攣らせ恐怖に身を竦ませた銀時を見て、隻眼の男は何とも愉快そうに口唇を吊り上げた。

「これはまた……どういう経緯で作られているかと見学に来てみれば。なんとも面白そうな事をしているじゃねェか」
「銀時。この方は高杉様と仰ってな……お前の乳をいつも買ってくださる“とても良いお客様”なんだ。今日はお前の乳搾りを体験してくださる。良かったな」

予感が的中した。
愕然と目を見張る銀時に高杉が笑いかけた。

「よろしくなァ、銀時ィ」
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ