過去小説置き場

□赤 紅 朱
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視界が真っ赤に染まる
  
  
  
まるで燃えるような熱さが俺の左目を襲う
  
  
  
激痛でうなだれた頭をゆっくりと上げれば、震える唇で俺の名を紡ぐお前がいる
  
  
  
俺の返り血で真っ赤に染まるお前がいる
  
  
  
  
  
  
ああ…、やっぱり綺麗だなお前は…
  
  
  
  
  
  
血ぬれた手を伸ばし白く冷たいお前の頬に触れる
  
  
  
そんな動作にビクリと反応したお前は何かを決したように俺の手を振り払い駆けていく
  
  
  
遠ざかるお前の姿を潰れていないもう片方の瞳で見据えていながらも、俺の頭の中を支配するのは真っ赤なお前だけ
  
  
  
常に狂ったように天人共を斬るお前が愛おしかった
その白装束と銀に輝く髪を血の朱で染めるお前は美しかった
  
  
  
その姿をみるためなら俺は何度でもお前に斬られよう
たとえそれで屍になろうと、俺はいつまでもお前を見続けよう
  
  
  
こんな俺をみる奴らは俺を狂っていると思うだろう
  
  
  
  
そうさ…、常人には分かるまいよ
  
  
  
  
これは狂った者にしか分からない歓喜なのだから…
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