長編小説

□白き華は朱に染まる 〜エピローグ〜
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一年後



あの時と同じく、雲ひとつない快晴な青空。

爛漫と咲き誇る桜の下で、銀時はお猪口につがれた酒を盛大に飲み干す。

「ぷはっ!やっぱりタマのついでくれた酒はうめーな!どこぞの怪物がついだのより何倍も上手いぜ」

大仰に言い放つ銀時にタマはウィーンウィーンと機械音を鳴らしながら首を振った。

「そんな大層なことではありません、銀時さま」

「おいテメエ!怪物ってのはあたし等のことじゃないだろうね!!」

「ソウデスヨ!オ登勢サンダケナラトモカク、私ハ違イマスヨ!」

「両方だ、この化け物共。一回鏡みて出直してこいや」

銀時はさらりと二人の抗議の声を切り捨てる。

「キーーー!!!まったく本当にムカつく野郎だね!!タマ、アンタもこのバカに何か言っておあげよ!」

「残念ながら、二人の容姿では銀時さまのおっしゃった通りかと」

「マ!!ナンテ失礼ナポンコツナンダロウネ!」

「タマ……アンタも言うようになったね」

「まあまあ、折角の花見なんですしここは冷静にいきましょう……ね!?」

四人の会話に新八がおずおずとした態度で割って入るが、グイッと襟首を掴まれ後ろに引き倒される。

「新ちゃん、あっちのことはいいから早く私の作った卵焼きを食べなさい。さっきから全然食べてないじゃないの」

目の下の影を濃くしながら、お妙は新八の前に暗黒物質(またの名をダークマター)と化した黒い物体を差し出す。

それに冷や汗をダラダラに流す新八。

「いや、あの……僕もうお腹いっぱいかなーなんて……むが!!」

僅かに上ずった声で断ろうとする新八の口の中に、無理矢理暗黒物質が……いや、炭と化した卵焼きが押し込められる。

「いいから男は黙って食えや!!!」

「むぐむぐ、新八も災難アルな」

スローモーションで涙を流しながら地に倒れる新八。

それを神楽は巨大なおにぎりを食べながら冷ややかな目を送る。

それらを見渡してから、銀時は徐に立ち上がり歩き出した。

「銀時さま?どちらに向かわれるのですか?」

「んー?ちょっとな」

そう言い残し、銀時は酒瓶を片手に皆から離れた。
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