長編小説

□時を越え巡り合うは我が師 〜三章〜
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雪は未だに降り続ける。

決して消える事のない過去を、その目に焼き付けるかのように。

けれど今は違う。

残酷な過去、純白と紅の悲劇。

それは誤りだったのだ。

その事はつい最近まで知らなかった事だが、あの人が目の前に現れてから知った。

その過去は誤りだと。

だから自分はもう罪を背負わなくてもいい。

これからはあの誤った悲劇を起こさない為に護らなければ。

あの人が再び奴等に狙われるのなら、自分が身を挺してあの人を護り、戦わなければ。

あの人を護る為に……。

……けれど何故だろう。

あの日に見た雪を、今この目に映し出すと心がざわつく。

本当に、あの人は“ここ”にいるのだろうか?

些細な疑問と不安。

けれどあの頃と変わらない笑顔を見たらそんな考えなどどこかへ飛んでいった。

確かに最初は信じられなかった。

でもあの人から感じた温もりを肌で感じたら、やっぱりあの人は生きていると思えた。

だから今はこの幸福を噛みしめる事にする。

……大丈夫、あの人は変わらず自分に暖かな目を向けてくれる。

怨言を述べたりしない、遺恨を心に宿してたりしない。












……あの廃屋で見た血の海に対して自分が目を背けていても、あの人はきっと恨まない。

そう、無理矢理思い込んだ。
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