長編小説
□時を越え巡り合うは我が師 〜六章〜
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桂は内心で驚いていた。
銀時を探し雪の積もるかぶき町を駆け回り、ようやく見つけた銀時の様子と高杉との邂逅に。
遠くからでも分かった高杉の殺気に慌てて駆け付ければ、途端に霧散した殺気。
そして高杉の意味ありげな言葉に応えるように瞳に光を取り戻す銀時。
いったいこの二人の間に何があったのかは分からないが、正気を取り戻した銀時を連れて高杉の言い残した松陽と子供達の所に連れて行くのは正直反対だった。
しかし銀時は身体も心も傷つきながらも向かおうとするその精神力に桂は、止めようと開いた口をいったん閉じる代わりに銀時の腕を肩に乗せ腰に手を添え支えた。
「ヅラ……?」
「ヅラじゃない、桂だ。高杉と何を話したかは後で聞く。とにかく今はあの子等と先生の所に行くのが先だな?」
「……ああ」
開いた傷口を押さえながら銀時は重くも軽くとも取れない息を吐いて頷いて見せる。
――ザクッ、ザクッ
二人の足音が万事屋に向かいながら奏でられる。
桂と銀時はゆっくりだが、着実に万事屋へと歩みを進めた。