長編小説
□白き華は朱に染まる 〜崩壊〜
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――パシャ、パシャ
降り続く雨の中、一人の少年と少女。そして大きな白い犬が雨の中を傘をさし歩いていた。
「見つからないね、銀さん…」
ポツリと零れた言葉は降りしきる雨の音に掻き消され、目の前を歩く少女には聞こえないのだろうか。
少女……神楽はひたすら前を歩き続けた。
万事屋を出てから銀時が行くかもしれない場所を虱潰しに探すが一向に見つかる気配がない。
そもそも銀時自身が人捜しをしているため、どこにいるか皆目見当もつかない。
取りあえず会った知り合いに銀時に出会わなかったか聞いてはいるが、まったく手掛かりがつかない。
それに……何故だろうか、先程から感じていた不安が強くなっている気がする。
「やっぱり銀さんに何か合ったんじゃ…」
そう不安を漏らす少年……新八の声を遮るように神楽が急に声を上げる。
「あ!マヨ!」
マヨと呼ばれた人物は民家の軒下でタバコを吹かしている土方だ。
マヨと呼ばれ「誰がマヨだコラッ!!」と叫ぶ土方は、神楽と新八を視界に収めると、「なんだお前等か」と、再び一服。
「土方さん……、こんな所で何してるんですか?」
「見りゃ分かんだろ。雨宿りだ」
そう言う土方の姿はずぶ濡れだ。おそらく見回りの途中に雨が降ってきたのだろう。
そこで新八が思い付いたように土方に尋ねる