長編小説

□時を越え巡り合うは我が師 〜一章〜
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「ガキなのはテメエ等だけなんだよ。銀さんはもう大人なの、風の子じゃねえんだよ」

確かに普段着物の袖を片方脱いでる銀時だが、今日のような雪の積もった日は特に寒いのか、袖をちゃんと腕に通しているようだ。

ついでに「ぶえくしょん!!」と鼻水を垂らしながら盛大にくしゃみが出た。

「うわ、銀ちゃんくしゃみ親父くさいアル」

「ちょっと神楽ちゃん、俺まだピチピチの二十代なんだけど」

「でもどうせ三十路間近アルヨ」

我慢しきれなくなったのだろう、神楽は袋に入った酢昆布を一枚取り出しかじりながら軽く毒舌を吐く。

「ったく、テメエは人の心の傷をグサグサ刺しやがって……」

「ハハハ、まあ神楽ちゃんらしいと言えばらしい言葉じゃないですか」

いじける銀時を「まーまー」と元気つける新八。

そこに神楽がズイと新八の顔を睨むような形で覗き込む。

「それどういう意味アルか?新八」

「……べ、別に深い意味はないよ!」

苦笑を浮かべながら新八は弁解するように口を開くが、その顔にボフと雪の塊が叩きつけられた。
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