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太陽が微かに顔を出した時刻。辺りはまだ薄暗く部屋は冷えきっていた。その部屋内に敷かれた布団に沖田は丸々ように横になっている
「寒っ…」
布団から上体を起こしアイマスクを外すと欠伸を一つ。部屋の時計は朝の5時をさしていた
「さてと…」
名残惜しい布団から抜け出し畳むと自室を出てある部屋を目指す。見えて来た部屋からは明かりがこぼれてきていた
「起きてるかィ山崎?」
スパンと襖をあけると既に隊服に身を包んだ山崎がいた
「あ、隊長お早うございます。丁度準備が出来たところですよ」
傍らにあった握り飯と湯飲みが乗った盆を俺の前に差し出す
「これ、作ったんで朝食にどうぞ」
「気が利くじゃねぇかィ、ありがとな」
畳みに腰をおろし箸を使って握り飯を食べた。その傍らで山崎は机上に大きな箱を取り出した
「隊長はこれを着て下さい」
箱から取り出したのは淡いクリーム色を下地とした所々に華がある着物
「随分綺麗じゃねーかィ」
「まだ任務では未使用ですからね、今日はこれをどうぞ」
山崎が説明している間に朝食をささっさとすませ、しまいにお茶を一気のみした。俺が使っていた食器を山崎は戻しに行ってくる間に着替えをしておくよう指示をする
立ち上がると着流しを脱ぎ着物に腕を通す。新品なため色も綺麗で見映えがいいようだ。徐々に着ていくがはたと手が止まる
「…帯の結い方知らねェ」
「やっぱりですか?」
「うわっ!?や、山崎いつからそこに!」
急に後ろから山崎の声がして情けない声が出ちまった
「ついさっきです。帯は俺に任せて下さい」
山崎の目には稀にしか見ることの出来ない光が宿っていた
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