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□Un principe del cacao
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「(あ、今日もココア…………)」








入学したばかりで座席はまだ出席番号順だから、私の前に座っているのは、沢田綱吉くんという男の子。
彼は、お昼の時に某製造会社の紙パックのココアを一週間の内多い時は3日飲んでいる。

何故こんなことを知っているかというと、私はココアが大好きだからだ。
前々から気になっていたけれど、いつも友達の男の子二人といたから、声をかけれなかった。
でも、今日はその二人がいないから、声をかけてみることにした。
彼ももしかしたらココアが好きなのかな、と期待しながら。








「ねぇ!
沢田くんってよくココア飲んでるけど…、ココア好きなの?」

「うん、美味しいから大好きだよ!」

「私も大好きなの!
ココアって美味しいよねっ」








私もココアが大好きだ、と伝えると嬉しそうに微笑む沢田くん。
一番好きなのはココアなのかを聞くと、彼は大きく頷いた。








「オレ専用のココアの粉が家にあるんだ!」

「凄い!
専用の粉なんてあるんだっ」

「お風呂上がりに飲むのが日課なんだよね」

「え、お風呂上がり?
コーヒー牛乳とかじゃなくて?」

「だって、コーヒーは苦いし………」

「あー、私も砂糖と牛乳がたっぷり入ってないと駄目だなぁ………」








でしょ?、というように、沢田くんは苦笑いを浮かべる。

コーヒーの苦さは、よくわかる。
ココアが美味しいのも、よくわかる。
けど、専用のココアがあって、お風呂上がりに飲むのが日課、なんて何だか………。








「沢田くんって、可愛いね。
ココア姫、って感じ?」

「えぇぇぇぇ!?オレ、男だよ!?」

「大丈夫、そこはちゃんと押さえてるよ」








感じたことを素直に口にすると、少し大きな声で慌てて否定する沢田くん。

まぁ、これが普通の反応だと思う。
可愛い、って言葉を誉め言葉として受け取る男の子なんて、そう居ない。








「じゃあ、ココア王子で」

「へ?」

「王子様、なら良いでしょ?」

「いや、確かに姫よりかは良いけど、オレは王子って柄じゃないし……」








うーん、と眉を潜める沢田くんの様子から、あんまり納得していないことがよくわかる。
でもまあ、私の中で勝手に定着させて貰おうかなぁ、なんて。









ココア記念日!
(今日は、私が決めた小さな記念日)







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