REBORN!
□全ては可愛いキミのせい
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どうも、沢田綱吉です。
今年はやたらと暑いです。
あり得ないくらいに暑いです。
だからこそ、姫が心配なんです。
姫というのは、一人暮らしをしているオレの彼女。
一人暮らしも心配なんだけど、今の問題はそこじゃなくって、毎年夏バテであまり食べれなくなって体調が崩れる所にある。
彼女は去年、夏バテで体重が三キロ減ったって言ってた。
そんな彼女が、あり得ないくらいに暑い今年、夏バテにならないはずがなくて。
心配でいてもたってもいられないだからオレは、姫の家に行くことに決めた。
* * *
姫の住んでいるマンションの部屋の前。
ピンポーン、とインターホンを押して暫くすると、ガチャと扉が開いた。
「綱吉?どうしたの?」
「遊びに来たんだけど……、迷惑かな?」
「ううん、そんなことないよっ」
入って、と姫に手を引かれてリビングに向かう。
姫の顔色はやっぱりよくなくて、来て良かったと思った。
「ねぇ姫、体調大丈夫?」
「うーん、大丈夫……とは言い切れないかなぁ。
あんまり食べれてないし…」
姫の淹れてくれたアイスティーを飲みながら問いかけると、苦笑いを浮かべる彼女。
あんまり食べれていないのも、やっぱり予想通り。
本当、来て良かった。
「そうだと思って、姫の為に良いもの持ってきたんだ」
「良いもの?」
「じゃーん、ゼリーだよ!」
姫の為に持ってきたゼリーの入った袋を、姫に手渡す。
すると姫は、目をきらきらさせながら袋からゼリーを取り出した。
「少しでも姫の食欲が戻れば良いなぁ、って思ったんだ。
でも、オレが作ったものだから形も悪いし、味の保証も出来ないけど……。
………食べてくれる?」
「当たり前でしょ?
綱吉が作ってくれた、ってだけで私は嬉しいよっ」
満面の笑みでスプーンを取りに行った姫。
最初は買っていこうと思ってた、というのも、ゼリーを作ることになった経緯も全部言わないでおこうと思った。
今回オレがゼリーを作ることになったのは、母さんに相談に乗って貰おうと思って姫のことを話したのが始まり。
そしたら、“じゃあ、ツー君が作ってあげたらどうかしら?”って言われて母さんに教えられながら作った、という訳だ。
ビアンキもリボーンに作るとかで参加してたけど、ポイズンクッキングの方はオレが頑張ったから、これは絶対大丈夫。
「……美味しい?」
「うん、凄く美味しいっ」
「それなら良かった!
これで姫の食欲、少し出てくるといいね」
嬉しそうに笑ってゼリーを食べる姫につられ、オレもくすりと笑みが溢れる。
「ねえ姫、今度姫が行きたいって言ってた店のケーキ、二人で食べに行かない?」
「二人で?」
「そう、二人で」
「うんっ、行きたい!」
スプーンとゼリーを机に置き、チョコレートケーキが凄く美味しいんだって、とかその店のケーキの情報を教えてくれる姫。
楽しそうな姫には悪いけど、オレは食べに行くには絶対に必要なことを告げた。
「でも姫、まずは食欲戻さなきゃね?」
「……でっ、でも、甘いものは別だもん!」
「だーめ。
甘いものだけだと、栄養取れないだろ?」
「う……………」
「食欲戻したいなら、ちょっとでも食べないと」
オレの言葉にしゅん、とする姫。
小さな声で、でもはっきりと明らかにテンションの低いトーンで“頑張る”と呟く姫。
可哀想だけど、倒れたら心配だし、オレは譲れない。
だから、姫の応援とサポートをしようと思う。
「姫、オレが食べさせてあげる」
「へ?」
机から素早くゼリーとスプーンを取り、じっとオレを見つめる姫に、にこりと笑いかけてスプーンを姫に差し出す。
彼女は数回瞬きしてから、ぱくっとスプーンをくわえ…………。
「………姫、もっかい」
「いっいや、大丈夫!
ちゃんと食べるから…っ!」
姫の言葉なんて無視して、二口目を掬う。
顔を真っ赤にしている彼女に食べるように促すと、躊躇いながらもぱくっとスプーンをくわえた。
「あーもー、姫可愛い!」
「きゃあ!?」
姫があまりにも可愛いから、ゼリーとスプーンを机に置いて姫をぎゅっと抱き締める。
あーん、もそうなんだけど、きゃあ!?とか本当可愛い反応をする姫にもう限界。
抱き締める腕の強さを、さっきよりも強くした。
綱吉離して恥ずかしい、って姫が言ってるけど、オレには何も聞こえなーい。
え、キャラ崩壊?
そんなの知らない、姫が悪い。
全ては可愛いキミのせい
(姫、好きだよ)
(わ、私も、綱吉が好き、だよ……//)
((可愛いなぁ、本当))
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ビアンキのゼリーの餌食になったのは、知らずに食べたランボ辺りだと思われる←
2010.08.07