Celeste Blue(二次)

□右手を繋ぐその前に
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【必要なのはツッコミスキルですか?スルースキルですか?】

現在所持金2300円。
これで生活費及び食費並びに戦闘費を賄うのは、多分無理がある。
というか無理だ。

思い切って「しばらくSP回復は四ツ矢サイダーで」と宣言して、魔法アタッカー組には水っ腹になってもらおうか。
あぁ、それにはゆかりと桐条先輩が恐すぎる。
手持ちに恐怖防御のペルソナが必要だ。

「何そんなに真剣に財布睨んでるの?」
「眉間にシワだよ?」

絢香ちゃんと麻衣ちゃんが笑いながら、ひょいと財布を覗く。

「あれ?結構あるじゃん。」
「あ、でもこれで月末までならまずいよね。」

そしたらカンパしてあげるからねという言葉に、持つべきものは友達だなと心の底から思った。

私はそれ程金使いは荒くは無い。
何が私の財布から金を吸い上げるのかというと、皆の装備代なのだ。
なんなんだあのぼったくり具合は。

「金出せこらー!!」
「うわぁぁあ!?」

声に振り向くと、私の驚き具合に笑っている理緒ちゃんが片手で集金袋をブンブン振り回していた。

「大会参加費の締切今日だよ?2500円。」
「え!?うわ!無い!」

財布の中は一気にピンチに陥る。
というよりアウトだこれは。

「200円かー・・・しょうがない!今日のところは貸しにしとくよ。」
「ごめん!ありがと理緒ちゃん!」
「いいよ、最近部活でも主力になりつつあるもの。試合、頼りにしてるからね。」

そんなことがあり、放課後現在所持金はマイナス400円(昼ご飯代を二人から100円ずつ借りた。)
今日タルタロスに突入して稼ぐのは決定にしても、それに向けてご飯は食べなきゃいけない(すきっ腹でタルタロスなんて死亡フラグにもほどがある。)

真田先輩からプロテイン分けてもらおうか?なんてアホな思考が回りはじめたところで。

「おい。」
「っ!?」

たった今思考の中心に(プロテインとセットで)いた真田先輩本人から声がかかり、これはプロテインフラグなのかと内心びくつく。

「何びくついてんだ。はがくれのタダ券後輩から貰ったんだが、一緒にどうだ?」

はがくれ?あーラーメン屋か。
いやでも一緒に行ったら真田信者怖いな・・・。
そう考える一方で今の私の状況を考えると、そうも言ってられないのだが。
・・・やはり背に腹は代えられない。

一一一一一一一一一

「っもう無理です!」
「なんだ、お前の胃は小さいんだな。」

いや、そうじゃないだろ!!
調子に乗ってサイドメニューを頼んだ私も私だが、そもそもラーメン屋に女子を連れていく真田先輩もあれだ。
まぁ100歩譲ってそこはいいだろう。
これがファンなら天下の真田明彦と食事なんて、飛び上がる程嬉しいだろうから(今図らずもその座を射止めた私は、明日のファンクラブが怖くて沈み込む勢いだが。)

だが最初から私の分まで特盛を頼む先輩はどうなんだ。
まぁ流石にプロテイン添加が無いだけマシという事か。

「ほら、帰りは腹ごなしにジョギングするぞ。」
「えぇー!?」
「えー!?じゃない!」

健全な精神は健全な肉体に宿るというからな!
爽やかにそう言い切った先輩に、それは全く関係ないと言えない私に足りないのは、ツッコミスキルとスルースキル、果たしてどちらだったのだろう。

とりあえずこの日のラーメンで、私は財布のピンチを乗り切ったのだった。
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