Celeste Blue(二次)

□このドアは開かない
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『このドアは開かない』


「ねぇ、本当なの?」

震え、詰まりそうになる声を精神力で押し止めて中尉は少尉に聞いた。
いや、この場合、リザはジャンに聞いた。の方が適切かもしれない。

軍人とは思えないほどにリザの声は震えていた。

「本当っスよ、そう何度も聞かないで下さいよ。」

残酷な女だなあ、と喉まで出掛かった言葉を飲み込む。
リザの瞳が、これ以上無いぐらいに揺れていたから。

“すいません、リタイアっす”

普段の自分からは考えつかないほど冷静に発された言葉に、内心ジャン自身も驚いていた。
そしてきっと彼女も。

だからこうして何度も同じ問答を繰り返し、互いが互いを現実を以てして傷つけあっている。

だからジャンは、これ以上彼女が傷つかない様にと、とうとう重たい口を開いた。
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