Celeste Blue(二次)

□承服不可
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思えばここ最近、大小合わせて様々な事件に惑わされていたのは、年末が近いからだと思う。
セントラルの街並は色鮮やかな、浮かれた原色に彩られ、煌びやかな光を散らしていた。

巡回中、それに目を奪われていた、というワケではなかった。
いつだって私の瞳に映るのは、威風堂々そのものな彼の背だけだったから。

軍人として情けない話だが、疲れから集中力が切れていて、おまけに街の浮かれたムードに緩んでいたのかもしれない。

だけど一瞬はいつだって命取り。
戦場では己が命を持ってその失態を贖い

戦場を離れた今は・・・



「っ!大佐!?」

それはまさしく一瞬の出来事だった。
前を行く彼に閃いた、悪魔にも似た銀の輝き。
対応が一瞬遅れ、その一瞬は致命的な一瞬だった。

いつもなら彼に凶器が立ちはだかる前に。
いや、誰かが彼の前に立ちはだかるその瞬間には、既に銃のトリガーに手はかけられているぐらいだと自負していた。

「っ!?」

彼も疲れていたのだろう。
何だかんだ言いつつも、一番のハードワーカーは他ならぬ彼なのだから。

発火布をはめるまでのタイムラグ。
その一瞬をついた、暗殺者の俊敏なナイフ裁き。
私のとるべき行動は一つだった。

「中尉っ!?」

戦場では失態を、己が命を持ってして贖わなければいけない。
だが、戦場を離れた今も、それは変わってなどいなかった。

「っく・・・燃えろ!」

虚しいタイムラグの後、彼の手から踊り出る様に放たれた焔は、躊躇する様子もなく、白昼堂々、巡回中に襲い掛かった暗殺者の肢体を舐めていく。

程なく消し炭となるであろうその男を彩る焔を、瞳に焼き付けながら、私は意識を手放した。

ぬめる黒味を帯びた血が、腹部を焼いていくのだけがが、私が彼を守った証だった。
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