Celeste Blue(二次)

□溺れる甘言
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いっそ雨でも振れば良い。
その時の空はマンダリンオレンジが強すぎて、逆光で彼は黒く塗り潰されていた。
だからだろう。
その日以降、私は彼の顔をハッキリ思い出す事が出来ない。
ただ、声だけは唯一許されたように思い出せる。

背景はひたすらのオレンジ。
もう少し茶色掛かれば、優しいセピアにも慣れたろうが、とにかく暴力的な鮮やかさばかりが印象的だ。

「ふーん。何かウェディングドレスみたいだね?」
「何を言っているんです。」

オレンジに染まった白のワンピースを見て、彼はにこりと私に笑いかける。
生憎私がそれを着ることは今までも無かったし、これからもない。
戦車に装飾が不要のように。
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