Celeste Blue(二次)

□盲目的カニバリズム
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「痛々しいわね、それ。」
「そ・・・思うなら、早よ治せぇな。」

依頼の帰りにイレギュラーに襲われたのはジン。
抜かりの無い彼がこんなヘマをするなんて、珍しい気がする。

馴染みの赤い香が濃密に部屋を満たす。
その香に酔ったのか、まるでキスの最中みたいに頭の中心がボウとした。
クツリ、と笑いが込み上げる。

白くなっている彼。
インドア派の彼の肌は白い。
今はそれに輪をかけて、血の気の失せた肌は白い。
とにかく、白い。

赤はひたすら鮮やかで、その白とのコントラストは、もはやどうあがいても自分には追い付けない芸術の様で、目眩すらしそうだった。

こくん、と鳴った自分の喉で、ひどい渇きを覚えていることを知る。
このままにしたら、きっと彼は死ぬだろう。
その思い付きに、ひどく楽しくなった。

自分達を生かそうと悪あがきして回転する頭脳とか、自分の気紛れに応えて温もりを与えたり、時に冷たい言葉を放るその唇が、活動を停止する。

理性なんて、元より自分にはなかった。
この身に自分の影を下ろしたその時からもう、精神は雲母片のごとく剥離された。
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