Celeste Blue(二次)
□100マイルの憂欝
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ふとした瞬間耳にするのは彼女の話だったりして、そのたびに何とも形容しがたい味が、胸の内に広がった。
なんてことはない、お金持ちのお嬢様に対するやっかみの話だ。
当の本人が耳にしたところで、彼女なら鼻で笑うだろう。
わかってはいる、少なくとも頭では。
「でもさぁ、それにしたって美人だよなぁ、桐条さん。」
誰かミーハーな男子の一言で、話は逆ベクトルになる。
彼女の容貌、言動の鋭さ、頭脳、はたまたプロポーションにまで。
思春期男子らしく話は飛ぶ。
だけれども、やはり胸のつかえは取れやしない。
いや、それどころか、前にも増して苦さは濃くなっていく。
だがこれは日常茶飯事、やり過ごす術ぐらい身につけている。
いや、身につけているというのは正しくない。
正しく言い換えれば。