Celeste Blue(二次)

□目覚めと微睡みのエチュード
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「だって、追っても来ないですし!」

黒のキャミスタイルのタイトなワンピース。
レースのあしらわれたそれは、彼女の美しさを煽るだけ煽って、彼の理性も煽りに煽ったのだろう。

追ってこない。
その言葉が本当であるならば、今夜独り、月見の夜を過ごすという、私の密やかに淋しい計画は霧散するだろう。

だがそれは杞憂の様だ。
少し手を伸ばして、ラグの中からペリエとレモンを取る。
青ざめる月光は、彼の人の髪色と同じで、冷たい。

それは媚薬のレシピ。
しわの因ったシーツの上で作るレモン水。
クリアグラスの中で踊る泡。
砂糖代わりに妖精の粉を、かき回して舐め取った。

膝の上で泣き疲れてトロンとした目で見上げてくる少女に、何の色みもないレモン水を手渡す。

飲みっぷりが善い。
喉が渇いていたのか、一息にグラスは空けられた。
白い喉が艶めかしく上下するが、レディーとはほど遠いと言える。
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