Celeste Blue(二次)

□収束する無限回廊
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そのグラフを見て少し、ほんの少し、切なくなった。
自分は線と点に感情移入出来るほど、勉強好きと言うわけではないが、その意味はわかった。

極限値aに収束する数列。
その様に、どこか自分を重ねた。

4月。
外は桜で、室内は新学期に浮き立つクラスメイトでいっぱいだった。
その中で自分だけが、異質めいている気がした。

この気持ちを、どこか違う土地で、あるいは隣のクラスで、かつての戦友は共有しているのだろうか。
そう思うと多少、この不安めいた気分も消える気がした。

繰り返す3月31日。
その結末で、アイツに逢った。
アイツはこの世からは消えてしまったけど、この世界の永遠になっていた。

アイツをあんな姿にしたのは、この世界だ。
そう思うと、浮かれ回るクラスメイト達に腹さえ立つが、結局はどうしようもないくて、ヘラリと笑ってやり過ごすのだ。

「伊織、今日は起きてるな!一発頼むぞ!」

慌てて教科書を見る。
目を逸らしていた曲線が、再び目に入る。
意味は解るが、答えは見えない。
隣に助けを求めることにする。

「おい、ここ何だよ。」
「俺に聞くのか!?」
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