MAIN NOVEL

□存在感の存在
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足音を忍ばせて。
気付かれてはいけないよ。
静かに、しずかに




















六条家・縁側ーーーーー




太陽の光が燦々と降り注ぐ昼下がり。身体に当てられる温度に感覚を侵され、ついまどろむ。




体育座りで縁側の縁に座り込んでいたが、眠気に勝てずヨレヨレと膝を抱えたままその場に倒れこむ。









『ふぁぁ‥‥‥』








誰もいないからと、遠慮なく大きく口を広げ特大サイズの欠伸かます。











暇だなぁ‥。
今何時だろう?



というか、ここでひなたぼっこをし始めてから何時間経過したんだろうか?








うーんといかにも『僕眠いんです』と主張したげにうめき声をあげながら更に寝返りをうつ。




あぁ‥‥暖かくて気持ちいいな‥‥。
眠ってしまおうかな‥‥。








休日の午後は昼寝に限る。

目が半端に閉じたり開いたりし始め、じわじわと眠りの世界に引き込まれていくこの瞬間がたまらなく好きだった。










あぁ‥‥‥ふわふわする。

きっと誰かに起こしてもらうまで目をさまさないな‥‥‥。


夜になったら寒くなるかな‥‥‥



誰か毛布かけてくれないかな‥‥













‥‥‥‥‥‥誰もいないんだった。












そう、今日は休日で店は休み。それをいいことに、壬晴の現保護者である祖母は、老人会の催しか何かで遠出していて、深夜にならなければ帰ってこない。








『うぅ』









寂しいな‥‥。
しらたまもどっかいっちゃったし‥‥。










カサッ














『‥‥‥‥‥?』






今、何か音が‥‥‥
しらたま、帰ってきたのかな?






眠すぎて目が開かない。




ぼんやりした意識のまま音に耳を傾けていると、足元にふわりと柔らかくて暖かい感触が落ちてきた。











あぁ、やっぱりしらたまか。








『ん‥‥おかえり‥』
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