MAIN NOVEL

□目と口
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目は口ほどにものをいう。









なんて。



彼にぴったりな言葉だね。


それはもう、似合いすぎて怖いくらい。










何かを伝えたいのに言葉にできないから、口で言わずに目で訴えるだけ。







ねぇ、宵風。









残り少ない君の“時間”に、俺は貢献できていますか?



君の深い深い不安と悲しみの中で、俺は路を照らす役割を、ちゃんと果たせていますか?





明かりのない君の目には、俺の姿よりも俺の中のモノしか映っていないのかな?







寂しい、さみしい。








君の目は何を見てる?



消えることを望む君の目に映るのは





死?



それとも



無?











消えたい、なんて。







そんなに哀しいことがあったの?









忘れられないの?
















ねぇ、宵風。










君を消す前に、君の記憶を消してしまえば、君を消さなくても、いいかな。







今更。


なんて思うかも知れないけど。













君を






失いたくないよ。










ずっと一緒にいたい。



離れたくない。




離したくない。







消えないで。



願うのは俺。





消せるのは、俺だけ。













ねぇ。




君は俺が死んだら‥‥‥‥













いや、なんでもない。



       END
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