MAIN NOVEL

□存在感の存在
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目をつむったまま足の方に話しかける。


返事はない。

当たり前だ。

だって相手は猫なんだもの。











ぽふ。








ん、なんだ?何だか急に身体がぽかぽかして‥‥‥
















意識を音から手の指先へと集中させる。



微かに指を動かし、熱の原因を確かめる。










、これ‥‥‥毛布?










しらたまが掛けてくれた?
まさか。猫にそんなことできるわけがない。

じゃあ誰が?








やっぱりしらたましか居ない‥‥。



えっ、しらたまってそんなに器用だったっけ?

いやいやいやいや、そこまででもないだろ。

ばぁちゃんがいらん芸を仕込んだとか?

まさか。

あのばぁちゃんがそんな面倒くさいことするわけない。



というか、さっき『ぽふ。』って毛布かけたよね?


『ぽふ。』って、あきらかに上から毛布をかけた音だよね?


もし仮に、シラタマが俺に毛布を掛けてくれたんだとしても、効果音としは最低でも『ズルズル』だよね?
引っ張る音しかしないよね?


何『ぽふ。』って。


しらたまってそんなに巨大だっけ?


違うよね!?




ばぁちゃんもいない、シラタマもいない‥‥


この家の縁側付近には今、俺しかいないはず‥‥。













じゃあ、毛布を掛けたのは一体誰!!?


















閉ざされていた目がバチッと見開かれ、勢いよく起きあがる。

すると、目の前にいたのは‥‥‥‥‥。






















「にゃああ」





















やはり、シラタマだった。

















『あ‥‥‥‥‥れ?』












そこには、ただひたすら慌てる自分と、呑気に足元に顔を寄せてじゃれるシラタマの姿以外に、陰も気配もなかった。
















『おかしいな‥‥』


「にゃあ」


『ねぇシラタマ、この毛布シラタマが掛けてくれたの?』








猫だとわかっていてもついつい話しかけてしまう。
しかし人語が話せないのはわかっているので、返事は待たずに一人で早々に解決へと語を進めていく。











やっぱりここにはシラタマと俺しかいない。

じゃあ誰が?



‥‥‥‥シラタマか?

‥‥‥‥シラタマが!!?
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