MAIN NOVEL
□日本隠昔話
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昔、昔の話であった。
秘術太郎
むかぁーしむかし。
いや、結構最近かもしれないが昔々。
あるところに、『虹一』というおじいさんと、『雷鳴』というおばあさんが住んでいました。
二人はとても仲が良かったのですが、老人の二人暮しは経済的にも裕福になるには難しく、年金も貰えないために、大層貧乏なのでした。
ある日。
いつも通りに、おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に向かいました。
お婆さんが汚れた着物を洗っていると、川上から大きな桃がどんぶらこー、どんぶらこーと流れてきました。
お婆さんは
「うわっ、モモ超デケェ!!」
と大層驚きましたが、桃食い放題だと、すかさず川に飛び込み、桃をゲットしました。
桃を持ち帰ったお婆さんは、自慢の愛刀【黒我門】で大きな桃を一太刀。
すると、桃の中から赤子が出てきました。
そこにタイミングよくおじいさんが帰ってきました。赤子を見たおじいさんは大驚き。第一声は「誰の子だ!?」だったそうな。その後おばあさんに袋叩きにされたのは言うまでもない。
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「おばあさん、この桃と赤子は一体?」
「それがさぁ、川で洗濯してたら川上から急に流れてきてマジびびっ……」
「ちょっ、雷鳴さん!ちゃんとおばあさんぽく喋ってよ!そんな今時なおばあさん嫌だよ!」
「なによぉ、アタシは本当は白雪姫がよかったのにー!」
「我儘言わないでよ……(泣)てゆーか、例え白雪姫をやることになったって、主役は壬はブバッ」
「わかってるわよチクショー!なによなによ、どーせアタシは可愛くないわよっ」
「いや、可愛いとか可愛くないとかじゃなくて、ただ単に管理人の趣味なんじゃ……ごふっ(死亡)」
その通りです虹一くん。いや、おじいさん。
というか、早く話を進めてくださいな。
「コホン。おばあさん、この桃と赤子は一体?」
「川で洗濯をしていたら、川上から流れてきてたのですよ」
「ほぅほぅ。きっとこの子はわしらへの贈り物だろう。名をなんとしよう?」
「桃から生まれた…桃た『ダサいから嫌だ』」
「…………………」
「………あのね、壬晴く『違う名前じゃなきゃ嫌だ。』」
桃の真ん中に座り込んでいた妙にふてぶてしい赤子が、おじいさんとおばあさんの会話に急に割って入ってきました。