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□共鳴する鼓動
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放課後………――。


俺は鞄に筆記用具を詰めながら考え事をしていた。

時間は朝に遡る。いつものように朝食を食べているとビアンキに声をかけられた。少し驚いて首を傾げていると、少し悩んでからビアンキが口を開いた。
「ツナ、頼みがあるの」

ビアンキが珍しいなと見つめていると、ビアンキはため息を付きつつ俺を見つめ返してきた。
「うん、何?」
と、聞き返すとビアンキは口を開いた。

「今日はあの子の……隼人の誕生日なんだけど、私はリボーンと用事で今から明日の夜までイタリアに出かけないといけないの」

「へー。獄寺君の?……ぇえっ!!今日獄寺君の誕生日なの?」

「そう。本当は私が祝ってあげるのが1番のプレゼントなんだろうけど……あなたが言うならまだ喜びそうだから」

「はぁ。………うん、わかった」

というわけで、朝にビアンキに頼まれたのだ。が。なかなか言い出せず現在に至るわけで。まぁ、獄寺君には日頃からいろいろ助けて貰ってるから、おめでとうって言うのは全然構わないんだけど……なにせ急なことだし、プレゼントなんか平凡な中学生な俺じゃ、こずかいもろくに残ってないし、なんも準備してないしなぁ……と、視線を獄寺君に移すと、山本と何やら言い合いをしている。獄寺君はいつものように青筋立てて怒っていて、山本は楽しそうに笑っている。そんな二人を見ていてふと、そういえばああ見えて、あの二人って仲いいよなぁと眺めていると、ふとあることを思い出し………そして閃いた。俺は鞄を手に持って、二人にそろそろ帰ろうと声をかけて学校から帰る事にした。





俺、獄寺君、山本と並んで話しながら歩いていると、俺は道すがらにあるコンビニに立ち寄りたいと二人に提案した。

「珍しいな?ツナが寄り道なんて。俺は別にいいぜ?」

「あー…ちょっと喉渇いたから、何か飲みたくなったんだよ……獄寺君もいい?」

「はい!構わないっス」


俺達三人はコンビニに入ると各々中を見て回った。とりあえずカモフラージュにパックのジュースを手に持つと、俺は獄寺君に気付かれないように、山本にこそっと近付いた。


「山本っ!あのさ、ちょっといい?」

「どうしたんだ?」

山本がきょとんと俺を見て聞き返してくる。俺はレジ付近で煙草を見てる獄寺君を横目に話を続ける。


「あのね………今日獄寺君誕生日なんだよ。だから、祝ってあげたいんだけど………」

「えっ?!あいつ今日誕生っっ」

「ちょっ!声おっきいっっ」

慌てて山本を止めると、俺は獄寺君に気付かれてないことに安堵してふぅっと溜息を付いた。山本を見上げると山本はわりぃと笑ってから、俺に話を促した。

「うん、だから祝ってあげたいんだけど………たぶん獄寺君、君に1番祝って欲しいと思うんだよ」


「へ?なんで?………ツナも一緒に祝えばいいじゃん?」

うん、山本ならそう言うと思った。俺はしばらく困った顔をしてから、山本に向き直る。

「1番大好きな相手に、1番最初におめでとうって祝って貰うのって、1番嬉しいプレゼントじゃないかな…………って思うんだ。獄寺君と山本相思相愛みたいだし」

俺は苦笑して山本を見つめた。山本は石化している。獄寺君もそうだけど、山本も結構わかりやすいよな。とか、内心苦笑いしていると山本の顔を覗き込む。

「…なんでツナがそんなこと知ってんだ?」

さすがに実はいろいろ見ちゃってるとは言えないから、なんて答えようかなと考え、俺は申し訳なさそうに笑った。

「んー。直感……………かな?ってその答えはやっぱり当たりなんだ?」

俺がわざと驚いて聞くと、山本が照れながら白状する。さすが山本は野球少年だけあって潔い。

「なかなか獄寺がツナに言うのうんって言ってくんなくてさ?」

そりゃ獄寺君はすぐには言わないだろうなと苦笑いして同意すると、気を取り直し、山本の肩を軽く叩くと、付け加える。

「じゃ、山本に任せたからね。俺は夜に用事のついでに電話で言うから」


「用事?」


「うん。今日からリボーンのやつイタリアに行ってて、俺一人じゃ宿題ぜったい突っ掛かってわかんないと思うから♪」

「………ツナ。それ明るく得意げに言う事じゃない思うのな」


俺が笑って言っていると山本に何故か同情されてしまった。まぁ………うん。わからないのは事実だから仕方ない。

「あ、獄寺君こっちくるみたい。じゃ山本!頼んだからね?」

俺はにこっと笑うと山本をその場に残し手に持っていたパックを買いにレジに向かった。



それからジュースを飲みつつ、三人でたわいもない話で盛り上がりながら、俺の家の近くの曲がり角までやってくると二人に向き直って見つめる。

「じゃ、二人ともまた明日ね」
「はい!お気をつけて!十代目!」
「またな、ツナ!」

俺は手を振って二人と別れる。しばらく歩いて振り返ると二人で連れ立って歩いている姿が見えた。山本上手く祝ってくれるといいな………と、正面に向き直ると誰かにぶつかる。俺は転んで尻餅をつくと痛みに顔を歪めた。

「いてて………あ!すいませっ……ひっ?!」

俺が顔をあげると、そこにたっていたのは………ヒバリさんだった。何故ここにいるのか混乱しつつ考えていると、ヒバリさんのオーラがとっても不機嫌全開だ。


「……君。さっき聞き捨てならない話を聞いたんだけど」

何の話だろう?と、きょとんとヒバリさんを見上げていると、ヒバリさんに引っ張り起こされる。小さく頭をさげて御礼を言うと、ヒバリさんが機嫌悪そうに俺を見ている。

「宿題でわからない問題があるなら僕に聞けばいいでしょ?」

「………………………はい?」

「だから、教えてあげるって言ってるんだよ」

「え?あの……………なんでその話、ヒバリさんが知ってるんですか?」

俺が青醒めて聞くと鞄を指差される。首を傾げて中を確認すると黄色い物体が入っている。え?なんで?と、慌て中を覗き込むと額にガツンっと何かがぶつかった。

「ヒバードが逐一教えてくれるから、君のことで知らないことなんてないよ」

青醒めたまま、あーなるほどー……と話を聞いていると、何故か俺の鞄から出て来たヒバードが頭の上に乗ってくる。

「で。今日は赤ん坊が家に居ないから、君困ってるんでしょ」

「はぁ…まぁ。確かに今日はいないですけど。そんなに言うほど困っ………っ?!…………はい、すいません!困ってます!助けて下さい!」

苦笑いしながら頭をかきつつ答えていると、キラッと輝くトンファーにビクッと怯えて早口で訂正した。恐る恐る見上げるとヒバリさんが笑みを浮かべている。あ、機嫌直ったみたい。

「君今日は寝られないかもね…」

「えっ!?ヒバリさん?………俺の家向こうなんですけどっっ!」

何故か俺はそのままヒバリさんの家に拉致られたのだった。



次の日、夜に電話でおめでとうを言えなかった俺は、朝1番に獄寺君に言おうと教室のドアを開けた。すると、ご機嫌で元気な山本と絶不調な獄寺君が何やら教室の隅で話こんでいる。俺は様子を伺いながらおはよーと挨拶してから、一足遅いおめでとうを伝えた。

「獄寺君、昨日は誕生日おめでとう!プレゼントは…ごめん、また今度準備しとくね!………ところで腰痛いなら無理せず早退した方がいいよ?獄寺君?」

「え?いや。大丈………ぬ゙ぁっ!?何の話スかっ!!べ、別に腰なんて痛くなっ……って痛っ!?腰さするなっ野球馬鹿っ」







……獄寺君って、ホントにわかりやすいよね。
顔真っ赤だし。




《完》



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