短編

□(高杉甘)サクラ色
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「フフッ…vV」


「どうした名無しさん、ニヤニヤして何か嬉しい事でもあったのか?」




縁側に腰掛け、夜風に吹かれている名無しさんに着流し姿の土方。



「いえ、別にvV」



「……変な奴だなι」





名無しさんはまん丸な月に向かってニッコリ微笑んだ。




「…ちゃんと読んでくれるかな…」


「大丈夫でさァ」




土方と入れ違いに来て、隣に腰掛けた沖田。





「知ってやすぜ。名無しさんさんの…コレでしょう?」




親指を立てた沖田はニッと笑った。



「うん、まぁね…」



























「…フッ…」




甲板の上で息を漏らす高杉。












「おもしれぇ事してくれるじゃねェか……






なァ名無しさん……」





月に向けた高杉の顔が、また便箋へと向けられる。



「こんな物寄越しやがって…こちとら暇じゃねェんだよ…」


自信の口元が緩んだのも知らず

その目はただ愛しそうに










  “愛してる”













闇に混じったがヒラヒラと夜空を舞って行く。














「早く帰って来い…






   名無しさん……」









その言葉だけがやけに響いた。
















「ふぅー…


   きれいな月…」








大好きな貴方に、そっと口付けを添えて





サクラ色のラブレター








END
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