短編
□(土方切甘)言葉はいらない
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数日経っても椿さんのいじめは止む事なんか無く、精神的にも結構辛い時間を送っていた。
「食器洗い蓄めないで」
「はい、」
「台所の掃除したんでしょうね?」
「えと、はい…」
「洗濯は?!」
「まだ…です、」
「もうっ、何やってんのよ!!早くしてっ、あたしの予定が狂っちゃうわっ!!」
「すみませ……ん、」
ああ、なんかもう…
ホントに嫌。
私はちゃんとやってるのにっ、
椿さんは自分の仕事を私に押し付け、買い物に行ったり、自分の好きな事をしている。
それから─…
土方さんに
会いにいく、
私はそんなに鼻の効く方じゃないけど、それだけはハッきり分かる。
きっと椿さんは、
土方さんの事が
゙好ぎ
いくら私と土方さんが恋人同士だからって、すごい人がライバルになってしまった。
それに気付いたのはつい最近。
土方さんから告白され、付き合い始めて少し経った頃。
椿さんの土方さんを見る目が変わった。
その時はそんなに気にしていなかったんだけど…
やっぱりこう毎日毎日ベタベタされると、いい加減私だって怒る。
私は椿さんのせいで女中として忙しく、土方さんは副長と云う地位の為に、お互い会う暇も、話す暇さえあまりないと云うのに…
今となっては、椿さんの方が土方さんと会う時間が多いって……
どう云う立場なんだろう、とたまに不安になる。
私は仕事が終わり、休憩に入る為椿さんを探していた。
椿さんが女中職を指揮っているから、嫌でも椿さんに報告するのは義務なのである。
長い回廊を歩き回り、椿さんを探す。
まぁ、たいてい居所はつかめているけど…
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