短編

□(土方切甘)言葉はいらない
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「土方さん、失礼します名無しさんです」



入れ、と云う声が聞こえて土方さんの自室に入った。

愛しい人に会う為じゃない、もちろん…













「椿さん」



「あら名無しさんさん、仕事終わったのかしら?」


「はい、報告に…」



やっぱり。
私の読みはみごと的中した。
椿さんは書類整理する土方さんの隣で、凛と座っていた。




゙なんでアンタが此処にいんのよ゙




云ってやりたいけど、私の様な下っぱにそんな勇気なんか有るわけない。




「椿、」


「はい、土方さんっ」


「悪いがもう出てってくれねェか」


「あら、まだお話ししたい事が…」


「さっきも云ったが、俺ァ仕事中だ」




土方さんの言葉に、少し笑顔になる。
椿さんに見つからない様、頑張って抑えたけれど。


椿さんは、仕方なく俯きかげんで腰をあげる。



「すみませんでした、土方さん。またお邪魔させて頂きますね」




   ゙もう来ないで゙



おさまれ、わたし。



帰り際に椿さんとバッチリ目が合った。
その目は、普段よりも冷たく怖かった。














「私の土方さんに

近付かないで」













─…え



なんで?
なんであなたに

そんな事云われなきゃいけないの?



土方さんは貴方のじゃない、












  ゙私のなのにっ゙


















土方さんの目を見る事なく、そこを後にした。

土方さんが呼んでいた気がする。




でも…


あんな事云われて






もう何も


聞こえないよっ、













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