短編

□(土方甘)傍にいてそれだけ
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真っ暗になった夜。
椿さんの件が始まってから、夜が怖くなった。


独りが怖くなった。

















いや、土方さんと一緒に居たいだけ…









その日の夜、土方さんとのデートが待ち遠しくて中々寝付けなかった。


いろんな事を考えるけど、やっぱり片隅にはいつも土方さんがいる。


本当に好きなんだ



















あれから大分経って、明日になった。
相変わらず辺りは真っ暗だけれど。



「…眠れない」



ため息と共に小さくこぼれた。
私は外の空気を吸おうと、軽い襖を開けた。





嫌な予感がした



少し先の私は、これまでにない程の後悔に陥るのを



わたしはまだ知らない。



















長い廊下を歩いていると、中庭で土方さんを見つけた。


私は勝手に、こんな遅くまで仕事をして、息抜でそこにいるんだと解釈していた。



本当にそうだったら


どれだけ良かった事か。









声を掛けようと、土方さんに近づいた。

私が口を開いたと同時に、私じゃない誰かが土方さんに飛び寄った。



















あれは……







女中の着…物、



















土方さんは私に背を向け立ち、その肩越しに見た顔は












「つば…き、さん…」
















こんな小さな声も拾ったのか、椿さんがこちらを見た。

私はビクッとして眉をひそめる。


椿さんは私を見るなりニヤっと笑って土方さんにキツく抱きついた。



そして、二人は





























   唇を重ねた、















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