短編

□(高杉甘)ぷらす記念日
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「くだらねェな」



「そう?」




月の綺麗な夜空、
冷たくも温かくもない
無頓着な風、


その下で天を仰ぐ私、
隣の愛しい人




「歌舞伎町で耳にしたんだけど、やっぱりバレンタインだね
晋助どう思う?」



「そんなの、愛を確かめ合うなら抱きゃあいいだけの話だろ」




そう云って愛しい人は私の腰に腕を回し、
くっと引き寄せた。

私はつまらなそうな顔をして、その腕を拒んだ。


恋人同士とは云えない私たち。

夜道をフラついていた私の腕を引いて路地裏に逃げ込んだ愛しい人。





"お前、俺に抱かれろ"





包帯と夜に覆われた顔から発っせられた第一声。
衝撃のあまりか、私はされるがままだった。


今思えば、私はあの時すでに晋助にくぎ付けだったのだろう。



ただ気持ちのままに抱かれいた。
彼とつながっていられる、側にいられるならそれでもいいと思ってた。


でも愛しくなる、
何よりも愛しくなる、


愛しいと思う気持ちが増すほどに、この関係がイヤ。



私は高望みをした
欲張った、

愛しい人を私だけのモノにしたいと

思ってしまった。




私は晋助が大好きだから、
この天の下で今宵
得てしまおうと考えた
















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