短編
□(高杉切甘)大切だから
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「晋助ぇーーっ!!」
「…ちっ。また来たのか…名無しさん」
それほど大きくない空き家に車座になる3人。
ソコに居るのは、高杉。桂。銀時。
俺たち攘夷志士は戦争も終わり、こうして形見を寄せ合いひっそりて暮らして居た。
ソコへ、うるさいほど俺の名前を呼び…
いや、あれはもう……“呼ぶ”
の分類じゃなくて、
“叫ぶ”だな…
で、その叫びながらやってくるのは名無しさん。
こいつがここへ来るなんてのは、もう日常茶飯事。
「晋助ぇーvV」
そう云いながら、俺に抱き付こうとするのを難なりとかわし、向き直る。
「またてめェか。毎日毎日ご苦労なこったなァ…ウゼェ」
「ム。何よ晋助!最近あたしに冷たくない?もぉ〜照れちゃって可愛いvV」
「照れてねェし、腕に手ェ回すの止めろ。殺すぞ」
俺は真剣を鞘から少しちらつかせる。
まぁ、こんな感じで俺にしつこくまとわり付いてくる。
ほんっとにウゼェ。
「ねぇ〜名無しさん。何でそんなに高杉が良いの?こいつの何処が良いワケ?」
銀時がそう問い掛けると、名無しさんはニッコリ笑って答えた。
(…笑顔は可愛いのになァ…)
「何処が良いって?そんなの全部っ!!晋助の何処か一つでも欠けちゃ駄目なのvVあの時から私は晋助にゾッコンなのよぉ〜vV」
俺は、抱き付こうとする名無しさんを横目に見ながらも、“あの時”と云う言葉に耳を傾けていた。
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