短編

□(高杉切甘)素直になれない
1ページ/7ページ



月が輝き、雨上がりの空を照らす頃。



爽やかな春が通り過ぎ、真っ赤な陽が差し込む季節になった。



「名無しさんが来なくなって3ヶ月かぁ…名無しさん……どうしてっかなぁ…」


「煩せェぞ銀時」





俺達は、相変わらず山小屋に暮らしてた。


縁側に寝そべっている銀時が、暑中口にしている台詞。



「高杉、お前も気にはならないのか?」




ヅラの言葉に反応する。

確かに、俺も気にはなっていた。




「お前ェ、やっぱり名無しさんに何か云ったんじゃねーの?迎えに行ったんだろ?なんで帰って来ねェんだよ…」



「知るか。此処はあいつの家じゃねェ。帰るもクソもねーんだよ」










そうだ


いなくなってせいせいしたぜ…



でも何でだろうなァ
俺の中から、何かがなくなっちまったみてェだ…

空いた隙間がもどかしくてならねェ…








銀時とヅラに質問攻めになった俺は、機嫌が悪くなり腰を上げる。



居心地が悪くなったから、思い腰を上げて暗い歩道へと出た。















「…たまには散歩もいいもんだな…」



どっぷりと闇に浸かった通りを歩く。


普段表を歩けない俺達だから、真夜中になると一層ゴロツキ共で賑わう。


中には、馬鹿でけェ金額を懸けられた奴なんかも居たりする。









次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ