短編
□(高杉甘)雨傘
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「はぁ…ドシャ降り、最悪」
豪雨とは呼べないが、それなりに強い雨が辺りを大分濡らしていた。
「もぅ…だから嫌だって云ったのよ」
晋助に買い物を頼まれ、渋々やって来たその帰り。
雨が降りそうだったから、一度は断ったが、刀を取り出してちらつかせられたら
─…行くっきゃなかった。
「ここから戻るのも大分あるし…雨が止むまで待とうか……」
晋助とは
随分古い仲で、今はお互い……
恥ずかしいけど
大切な人として、
町はずれた屋奧で一緒に暮らしてる。
昔は過激派攘夷なんて云われてハデにやってたけど、今はその面影もない。
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