短編

□(沖田切甘)たからもの
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春のポカポカとした天気の下、屯所の縁側には私と総悟。








「総悟、髪さらさらー」



縁側で陽に当たっていた私は、スタスタと歩いて来た総悟に後ろから抱きしめられた。


そのまま少しの間じゃれあって、いつの間にか総悟の頭は、私の膝の上。






屯所一ラブラブなカップルなの、私達。















目を急に開けた愛しい人は、私の肩から垂れ下がった長い髪をすく。




「名無しさんの方が綺麗な髪でさァ」



綺麗なのは貴方のその指よ、なんてキザな言葉を吐けば、グイっと首の後ろを引っ張られ、口付けられる。




「ん…………っ」




長く深いキスが終わると、総悟がにっこり笑ってまた眠り始めた。


その寝顔を見て、なごやかな気分にひたっていると、ふいに寝返りを打った総悟の懐、

内ポケットから、白い無地の封筒が顔をのぞかせた。
















いやいや…


見ちゃいけない!







私は首をふるふると左右に振って、好奇心を抑えた。


















「し、失礼しまーす…」





ごめんなさい総悟、


好奇心には勝てませんでした……






私はとうとう手を、そこへ忍ばせてしまった。


ハガキサイズより一回り位小さな純白の封筒。

良く見れば角や端がすすけてきているのが分かった。


ずいぶん大事に持ち歩いているんだなぁ、
なんて感心しながらも、罪悪感がつのる。

しかし、

好奇心によって目に入れてしまった事を、







すごく後悔した。











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