短編

□ありがとう
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体育の授業。 体育館で、ネット挟んだ向こうで男子はバスケをしている。

「キャーー!!」

そこに、私の黄色い声が響き渡った。

「ねぇ今の総悟見た!?ちょーキマってた!ちょ ーカッコいい私の彼氏ちょおーカッコいい!!」

「あー、はいはい」

隣の友達の返事はめちゃくちゃ適当。 なんだよつれないなーいつものことだけど。 今のシュートすっごいカッコよかったのに。 なんで分からないかね。

「総悟カッコいい!」

一息ついた総悟に叫ぶと、

「ふん。当然でさァ」

ってクールに返事が返ってくる。 それがまた素敵…! 乱れた息。光る汗。それを拭う姿がもうキラ ッキラしてて眩しすぎる!

「名無しさんー、このフリースロー決めたら ちゅーな」

「うん!」

そんなこと言わずともちゅーなんていくらで もしますが! まぁどうせ決めちゃうしね。 ほら、入った。

あぁもう唇と言わず体ごとあげちゃってもいいんですけど!

「……はぁー…。毎日見ても見飽きない。彼 の素晴らしさ…」

「こちとらあんたらのバカップルぶりにはも う見飽きたんだけど」

恋煩い。思わずため息をつくと、友達もまた 違ったため息交じりに言った。

「よくやるよね。もう一年の頃からそうじゃ ん。普通ちょっとは落ち着くって」

「何言ってんのこれが落ち着いてられますか っ。総悟があんなにもカッコいいって言うの に」

「…だからそれだよそれ。どうやったら二年 以上もつわけ?そんなのが」

「ラブラブだからに決まってんじゃん!…ね? 総悟」

「たりめーでィ」

総悟が丁度目の前に来てくれたから話を振っ たら、あっさりと頷いてくれる。 わーもう大好きだよそんなアナタが。 でも残念ながら先生から集合がかかって、総 悟とはそれ以上は話せなかった。

友達はやれやれ、と首を横に振った。

「でもま、ある意味羨ましいかも。秘訣でも あるの?ラブラブの」

「んー…。秘訣、ねぇ…」

秘訣。なんだろう秘訣。 あんまり考えたことないなぁ。 これが日常だから。

確かに付き合って三年目ともなれば多少マン ネリ化はあるけど…。 私たちは相変わらずで。

あ、相変わらずと言えば、付き合ってから毎 日してることがある。 秘訣かどうかわかんないけど、思い当たると 言えばそれかなぁ。







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