3色フレーバー

□苺の正しい食べ方
1ページ/3ページ




バラとフリルのちょっぴりお姫様ちっくなミュール。最近買ったミーアのお気に入りだった。
そして手には、お土産のショートケーキ。赤い宝石みたいな苺にかかったシロップとふわふわのスポンジ。生クリームはとろけるような食感で、何度食べても幸せな気分になれる。

でも、もっともっとそれよりもずっと大好きなのは―――。



ピンポーン!

―――…?

ピンポーン!

―――……、


ミーアはインターフォンを2度押した。
が、誰も出てこない。

外は快晴、気温も高い。
紫外線はお肌の大敵だ。


「ラクス…。まだ寝てるのかしら?」


明日の10時、遊びに行くと昨日電話をしたから忘れる筈ないだろう。ましてや早起きのラクスが寝坊なんて、信じられない。

電話をかけてみるか、と携帯をバッグから取り出そうとした時。ガチャンと鍵が解除される音がした。


「ラクス、どうした…って!早速出たわね…」

「ラクスじゃなくて残念でした」


出迎えたのは愛しのラクスではなく、その彼氏。ミーアの天敵のキラだった。

彼は罵倒を全く気にする事なく、目尻を濡らしのんびりと欠伸をしている。そして格好と言えば…。


「ああ、ごめん。寝起きだから許して」

「いくら夏だからってラクスの家でそんな着崩さないで!」


ジャージを履いてるが上はそのままシャツを羽織っただけで、ほとんど上半身裸で出てきたのだ。


「…君さぁ」

「な、何よ」


すると少し呆れたような表情をキラは見せた。
ミーアは思わず身構えながら、夏の汗とは違った雫を流す。

とても嫌な予感がし、見事的中したのだ。
これが宝くじなら、あっという間に億万長者になれていたかも知れない。


「仲の良い恋人同士が同棲してて、何もないとかそんな可愛いこと思ってるの?」

「え…?」

「僕とラクス、とっくにしちゃってるよ?」






次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ