3色フレーバー
□レモンの味だった?
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時刻は夜の11時。
ソファーに座ったラクスはクッションを抱えじっと時計を見つめていた。テレビのついていない部屋には、秒針の動く音だけがやけに響いている。
テーブルには空の食器。キッチンの鍋には冷えた夕食が出番を待っている。
洗濯もしたし、お風呂にも入った。あとは寝るだけの格好でラクスが待つのは、ルームシェアの相手にして恋人のキラ。
最近は仕事が忙しいらしく、帰りが遅い。心配する。
「まだ…でしょうか」
彼は先に寝てて、と言うけれどラクスの性格上そんな事は出来ない。それにやっぱり、ちゃんと顔を見たいから。
もぞもぞとクッションを抱き直した時、玄関の鍵を開ける音がした。
「ただい…」
「キラ…っ」
「ぅわ!…やっぱり起きてたの?」
ラクスは勢いよくキラに抱き付いた。それを上手く受け止めた彼は苦笑気味に呟く。
これが2人の最近よく見られる光景。
まるでご主人様の帰りを待ち望んでいたペットのようだと、キラは愛しく思っていた。だから、あまり強くは言わない。
やっぱり彼もラクスが出迎えてくれるのが嬉しいのだ。
「ご飯食べますか?」
「うん」
ただいまとお帰りのキスを軽く交わして。
2人は仲良くリビングへ戻った。