TREASURE

□My witch
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そもそも、こんな時間から家事もそっちのけで女性陣が騒いでいるのには
理由があった。

今日は、10月31日


「ラクスお姉ちゃ〜ん!Trick or …ぅわぁ〜〜っ!!」

ドアを開けて入ってきた子供たちは、ラクスに菓子をねだろうとするが…
彼女はにこっと笑って、ふわっと一回転してみせた。

「ラクスお姉ちゃん可愛い〜」
「魔女さんだぁ〜」


そう、彼女は今…魔女の仮装をしているのだ。

濃紺のハットに、同じく濃紺のワンピースには、ひらひらのレースが揺れていて
中央は漆黒のリボンで左右を留めて、胸元にコウモリのシルエットがある。

持ち前のピンクの髪は二つに結んで…
そして腕にはお菓子をもらうためのかごを下げていた。

「何だ〜お姉ちゃんもお菓子もらう側なんだぁ〜」
「ふふっちゃんと皆さんに、手作りのクッキーを用意してありますわ」
「「「わぁ〜い!!」」」


お菓子をあげる立場には後ほどなるとして…今はもらいに廻る側になったラクス
彼女なりにこのお祭りが楽しみで仕方なかったのだ。

夜になって、別邸のマルキオやマリュー、バルトフェルドの元に行っては叫ぶ一言。

「Trick or Treat!!」

子供たちはまだしも、仮装までしているラクスを見て…マリューたちは少なくとも驚いた。
そして、その時折垣間見える子供っぽさに、微笑まずにいられなかった。


「あっ!カリダおばちゃんとこまだ行ってない!」
「ほんとだ!!たぶんキッチンだよっ」

みんなのために喜んでご馳走を作っているのだろうが、お構いなし。
子供たちはカリダのいる方へ走っていった。




魔女っ子ラクスは、ふと二階にいるだろう彼の方へ、狙いを定めた。




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