人魚の記憶

□Royal.05 運命
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式典を終え、自室に戻ったセリスはベッドに倒れ込む。


「…はぁ〜…」

「お疲れ様でした、王女様」

「お疲れ、姫様」

「つーかーれーたぁ…
式典って数時間だったけど、こんなに疲れるなんて…」

「ははっ!今までサボってたツケが回って来たんだなっ」


笑いながら言うカノンにムッと頬を膨らませる。


「もうー!…気分転換したいから、街行ってくるから服持ってきて」

「はいよ、セリス姫」


そう言い、クローゼットからレースの付いた服を取り出す。

「これの服か?」

「違うわよ。それは今日は嫌。目立たない服がいいの」

「じゃぁ、これは?」


次に取り出したのは、リボンとフリルが可愛い服。


「嫌よ。もっと王女だってバレない感じの服がいいわ」

「確かに王女だってバレたら、大変な目に合うもんな。前みたいに」

「……………」


前みたいに…とは、王女だと分かるような格好で街へ出かけたら、お金目当ての男達が寄ってきた事だ。


「勘弁してほしいわ…」

「それなら、このワンピースはどうだ?」


カノンが出してきたのは、黒い無地のワンピースだ。


「それならいいわね!…あとは大きい布をフード代わりに被るか。ありがとう、カノン」

「俺とクレハも着いて行った方がいいか?」

「大丈夫大丈夫!今日は一人で、出かけたいの」


カノンは承諾し部屋を出て行った。
セリスは一人街に散歩に出掛ける為の着替え始めた。


この後、運命の出会いが訪れようとも知らずに────…



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