人魚の記憶
□Royal.01 昔の記憶
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「…………っ」
少女は、ナイフを握りしめ寝ている青年の傍へ寄る。
静かな寝息をたてて寝ている青年。その顔は、誰もが見惚れる程綺麗だ。
「……やっぱり、私にはできない……っ!」
少女のナイフを握る手は、震えてすくみ青年に突き立てる事はできなかった。
そして、ベランダに出て溢れる涙を声を押し殺して泣いた。
"三日以内に王子とキスをすれば人間のまま結ばれる。
だが、キスできなければお前は泡になって死ぬ。
それが嫌なら王子をナイフで殺せ"
「キスなんて…できないっ…
でも……、王子様を殺すなんて事…絶対に出来ないよ……!」
好きな人を殺すなど、有り得ない。考えられない。
少女は一生懸命考えた。
そして少女は、首から下げていた綺麗な赤い石が付いたペンダントを首から外し、王子の傍まで来て枕元に置いた。
「王子様……
これは貴方に差し上げます。
だから…私の事、忘れないでください」
その結果……、
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