人魚の記憶

□Royal.02 父親と娘
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「お父ーさん」

「おぉ、来たかセリス」


少し螺旋状になってる大きく広い階段をドレスの裾を踏まないように気をつけながら下りる彼女は、下で待っていた父親であり王様のアレギスを呼んだ。


「なによ」

「そんなあからさまに嫌そうな顔をしないでくれ」

「だって、どうせこの前の事でしょ?」


セリスやカノンが言う"この前の事"とは─────…


"結婚相手を探す"事。


「分かってるんじゃないか」

「もう、その話はいいじゃん。私は私で探すから!じゃぁね」


去ろうとする娘を引き止める。


「待て待て!!理由を聞かせてくれないか?なぜ、この前来た優秀な男性達の求婚を断ったのだ?」

「お父さん分からないの?!あの人たちは、お金目当てよ?
もう、そんなの見え見え。うんざりだわ」

「そう言いってると婚期を逃すぞ」

「失礼ね!」

「これじゃぁ、先に逝ってしまった母さんに申し訳ない。お前を頼まれたのに…」

「私はもう16よ?!相手くらい見つけられるわよ。それなのにお父さんが拒否するんじゃない!」

「当たり前だ。それはその相手が国家錬金術師だったからだ。

忘れたのか?母さんは女王で、癒やしの力を持っていた。それを知った軍は、母さんをイシュヴァールに連れて行き…そこで母さんは国家錬金術師に殺されたんだぞ」

「でもみんながみんなそうって訳じゃないわ!」

「ダメなのはダメだ!…頼むから、見つけるなら国家錬金術師以外にしてくれ」

「……お父さん」


背を向ける父親の背中を見つめていた娘だった。






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