人魚の記憶
□Royal.04 式典
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そして式典は始まり、エルグランド城の周りにはたくさんの人々が訪れた。
王でセリスの父のアレギスは、城の周りに集まった民衆たちにバルコニーから手を振った。
民衆からは、歓声が上がる。
隣にいた娘は浮かない顔をしながらただ突っ立ていただけ…
そんな娘に声をかける父。
「どうした、セリス。お前も手を振らないか?」
「あ、うん…」
そう言われ、精一杯の作り笑いをして民衆に手を振る。
民衆からは、黄色い声援やら歓声がさらに上がる。
その式典を遠くから見ていた兄弟。
「…なんだ?」
「すごい人だね」
「だな。なんの集まりだよ;」
アルは、近くにいた人に聞いた。
「あの、すみません。
この人だかりって何ですか?」
「あぁ、この人だかりは式典の人だかりよ?」
「「式典…?」」
「この街って、人魚姫の発祥地って有名なの。今日はその人魚姫を祝おうって言う式典なの。
ほら、あのバルコニーにいる男性がこの国の王様のアレギス様よ。そして、隣にピンク色の髪をした子が見えるでしょ?あの子が王女様のセリス様」
女性は丁寧に、教えてくれた。
「そして王女様の首もとのチョーカーは、人魚姫が王子様に渡したとされる"人魚の涙"よ」
「「"人魚の涙"?!」」
「そうよ?興味があるなら、式典後にお城に行ってみるといいわよ?」
「ありがとうございます。」
女性の丁寧な説明で目的にたどり着いた二人だった。
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