ひまわり
□SF1.間違いが運命
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「―――――で、」
「……」
「どういう事なんですか?」
「……」
ここ東方司令部で、エルリック兄弟がロイに問い詰めていた。
だが、一向に話をせず黙っているロイ。
「“鋼の錬金術師を誘拐した”…って、俺はここにいるぞ」
「兄さんはずっと僕と一緒にいましたよ?」
「見れば分かる」
「じゃぁ…」
「だから、君たちのいるホテルに電話したんじゃないか。ホテルの従業員も君たちがずっといるのを見ている。間違えないんだが…犯人側から鋼のを誘拐したと電話があってな」
「…一体、どこの野郎だよ。この俺様の名を騙った上に、捕まった野郎は」
「君はそこに反応するのかね」
「前にもあったよね」
「あぁ、いい事をしてるならまだしも、俺の名を騙って捕まってやがる…一度、そいつの面を拝ませてもらいたいもんだね」
ニヤリという効果音がつきそうな顔をするエド。
(うわー、いやらしい顔…)
「で、俺にそこに行けって任務か?」
「そうだ。君ならそんな奴らには負けんだろ?危ない奴らでもなさそうだ。誘拐なら狙いは身代金だろうし…それに、君に恨みを持った奴らの犯行かもしれんしな」
「もしそうなら、俺が片付けろって訳ね」
「兄さんに恨みを買っている人たち…数え切れないよね」
「アル、お前が言うな」
「とにかく、任せたぞ。そして、その後の報告も忘れずにな」
「言われなくても。
よし、行って来る」
「兄さんだけで大丈夫?」
「これは、“軍の狗”への命令だからな。
心配すんな!すぐ帰ってくるからさ」
「うん。気をつけてね」
「おう!」
エドはアルの鎧とコンッと軽く叩き、司令室を後にした。
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