*ものがたり*
□禁恋†春霞†深國明彦
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丸いピンク色のはなびらを
ぎゅっと纏めたような
さくらの花が綻び
ゆっくりと舞い落ちて
淡い春霞に包まれる
その中で静かに佇むのは
愛しさをそのまま
形にしたような彼女の姿
麗らかな日差しも
彼女の柔らかい微笑みも
温かすぎて
くすぐったくて
思わず目を細めた
俺が未だ
触れたことのない
彼女の髪に肩に唇に
舞い落ちる
薄紅のはなびらに
少し嫉妬をして
手を伸ばしたくなる
俯く俺の視線の先の
華奢なヒールが
躊躇いがちに
こちらに向けられる
つま先がゆっくりと
向かい合い
顔を上げたら
どんなあなたが見れるのかな
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