oRIginAl
□ジルド
1ページ/2ページ
‘ジルド‘
イタリアの端っこに位置する、殺し屋の実家。
ここは前来たときからたいして変わっていない。
人といったら酔っ払いと殺し屋と、・・・。
とにかくまともな人間がいる場所ではない。
建物は酒屋や武器屋。
民家などはほとんど無く、ほとんどの人は道の上で寝る。
今は朝方で、人通りは少ない。
二人は道に転がっている死体と生きてる人間を蹴らないよう、
用心して向かった。
起こしたら喧嘩をふっかけられるだけだ。
奥へ。
更に奥へ。
街の奥の奥。
もう人気のない場所で、二人は足を止めた。
ある建物の前で。
それは売春宿だった。
「なぁ、本当に連れてくのかよ?」
「・・・えぇ。」
「へいへい。」
ラークは乗り気ではなかった。
なんたって、ジルドという男は____。
古びた扉を開けた。
まず明かりのない部屋の闇が彼らを迎えた。
すると部屋から人が出てきた。
20歳くらいの露出度の高い女である。
「こんな朝っぱらから何のようだい?血祭りかい?」
いかにも不機嫌である。
アリアはあまり構わず話しかける。
「私はアリア。ひとつ聞きたいのだが、ジルドはいないか?」
そう言うと、女は目を見開いて驚いた。
「なっ・・・、アリア!?あの魔女かい!?
ほ、本当に来た・・・」
ヨーロッパで殺し屋のアリアを知らない者はいない。
悪魔と関わりがあるというのも・・・
「ジルドはいるか?」
アリアはもう一度促した。
「あ・・・あぁ、いるさ。
こっちだ。寝てんだよ。」
そう言い、案内してくれた。
ラークはあまり行きたくないらしく、二人の後を歩いている。
やっぱ生きてやがった、と呟きながら。
「ここだよ。あたしはまだ寝るから、勝手に話して帰りなよ。」
女はそれだけ言うと、まるで逃げるように去っていった。
それもそうだ。
「ジルド!!!」
アリアは勢いよく案内された部屋の扉を開けた。
そこに確かに ジルドはいた。