REBORN!
□好きになればなる程に
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例えば一人で迎える朝、広すぎるベッドで微睡みに包まれる時。
例えばそう、何の気なしにテレビを点けた時。
例えば熱いシャワーの合間。
ほんのふとした瞬間にお前を思い出してしまったら、後はもう振り払おうにも叶わなくて。
ぞくりとして少し溜め息。とろんと目蓋が降りて、想いを逃がす様に深く深く一呼吸。
“美味しい”と思うたび
“綺麗”、と
“楽しい”と、思うたび
──お前がここにいれば…
きっと“美味い”と、
きっと“綺麗”、と
“楽しい”と、言ってくれるのだろう。
そして俺はすぐ隣で頷いて微笑む。お前と生きる日々を思う度、幸せでドキドキして。
そしてすぐに苦しくなった。
そんな恋をしていたあの頃。それからもどんどん好きになった。苦しくて愛しい、切なくてたまらない。同じ気持ちを並べる今でも。
「帰ってきて…」
広く、もの寂しい空間に響いた声が一層の寂寥感を呼び、すぐに後悔した。
何処より落ち着く自室なのにあの人がいない、ただそれだけで胸が騒つく。
どうか無事で。
怪我なんてしないで、お願い。
白く滑らかなお前の肌に知らない傷なんて付けないで。
「会いたい、」
会いたい会いたい会いたい、あいたいよリボーン。想ってしまったらもう、振りほどけない。
気付かない振りをして、必死に隠していた気持ちが夜の闇へと流れ出す。あの人と同じ色へと、この想いが。
「すき、会いたい、一人じゃ眠れないよ……リボーン、」
「…たく、可愛い奴だよてめえは。だが次からそういうのは俺がいる時にしろ」
空気を震わせて笑うその人はやっぱり闇色だ。
闇。暗いのが怖くて昔は夜が嫌いだった。
「おかえり」
「ん。ただいま」
けど今は違う。どんどん好きなものが増えていく。お前と出会ってから、お前を愛する度に。
お前を、好きになる程に。
fin...