REBORN!
□時空旅行T
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「はひぃ!ツナさんvV可愛いですぅ!」
「なるほど、どうやら本当のようですね」
「ボス…小っちゃい…」
リボーンが本部に調査資料を置きに行く間、ツナの相手をすると買って出た者がいた。
しかし先程から見せ物扱いされているようで、些か居心地が悪い。こう見ると、10年の月日の途方の無さを感じる。
──ハルに骸にクローム…
どれも知っている人物なのに、全然知らない他人のように感じる。しかも自分以外の者達にはそんな素振りはないから、余計に居心地が悪いのだ。
(そいえば…リボーンは平気だなぁ)
出会い方が異常だったから動揺したけれど、リボーンとは自然に対応してる気がする。あいつが一番見てくれが変わっているのに。
「じゃあ…大人ツナさんは今、10年前にいるんですか?」
「うん、たぶん」
「「「‥‥‥」」」
───何だよ;
「何でだんまり?」
「その─…何と言いますか;」
歯切れの悪いハルに首を傾げる。クロームは口を空けたまま何やら考え込んでいる。こうなれば…
「…骸?」
「クフフ、こちらの沢田綱吉が過去でおとなしくしていられるか。考えるだけで面白い」
「…どういう意味?」
てか;部下(実感ないけど)にこんなこと言われて、未来の俺ってどんなだよ…。
「ボス…もってもて、」
「は?」
「ツナさん、ありえないくらいモテるから。人間ホイホイなんです」
「マジで!?」
でかした!未来の俺!!
いや〜人間変わるもんだね。まさかこのダメツナにそんな未来が待ってるなんて、神様ありがとう!
「主に男から」
クフッと笑う南国果実。…今何て?
「おかげでツナさんが一人になると、ストーカーやら痴漢やらデンジャラスで」
「でも…山本さんはボスは女タラシだって…」
「こらこら、クローム。そんな下品なことを言ってはいけません、」
なんだか頭痛がしてきた。
男に狙われる女タラシって…どんな…。
「でも平気ですよ!ツナさんにはリボーンちゃんがいますし!」
カァッと赤くなったのが自分で解った。気付かれた…よね。これじゃあリボーン好きなのバレバレじゃん。ああ、また居心地悪くなっちゃった…。
「当たり前だぞ。ツナは放っておくとすぐ男引っ掛けるからな」
「リボーン!」
お帰り。
ただいま。
と言葉を交わせば、ため息が3つ零れる。
「貴方たち、…それはわざとですか?」
やってられないとばかりにリボーンを一瞥して、骸は部屋を出た。クロームとハルが続く。最後の台詞に「なに?」とリボーンに向き直れば、ニヤリと笑っただけで、結局わからないままだった。
「…あ、」
一晩明けた翌日。
寝慣れないベッドでも、心地よく爆睡した。リボーンの隣で。
白い煙が手足にまとわりつく。目覚めたばかりのぼやけた視界に、リボーンを探す。するとガチャ、と扉が空いた。リボーンは一瞬驚いた顔をして、納得したように近づいてくる。
「さよなら、リボーン…」
「ツナ、さよならってのは別れの挨拶だ。これは出会いで、始まりだろ」
そっか、じゃあ…どうしよう?考えたのは一瞬。
俺は、人生で一番気持ちを込めた笑顔を送った。それしか思いつかなかった。煙は視界までも覆い、いよいよその時。一瞬見えたリボーンはボルサリーノを外して軽く会釈した。ゆっくりと顔を上げた彼は、見惚れるくらいの笑顔だった。
「「ただいまリボーン」」
「「お帰りツナ(綱吉)」」
それぞれの、いるべき場所へ。
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