REBORN!

□時空旅行U
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ママンは料理が上手い。明朗で気立ても良く、器量も良い。家光なんかには勿体ないくらいの器の広い女性だと、常々思っていた。
思ってはいたが・・・


「ママンてでけぇよな」

「そだね…。我が母親ながら未だに母さんの精神構造は図れないよ」




沢田家の母は偉大な人物だ。

あれから抱き合う姿勢のまま、昔話や軽い愚痴など他愛ない話をしていた二人だったが、夕刻になっても元の時代に帰れる兆しはなくどうしたものかと頭を悩ませたのだが…。

『腹ペコなんだけど』

の一言で考えるのを放棄した綱吉は、階下に降りてあろうことか母親に自己紹介したのだった。



「ツッ君たら素敵になっちゃって!母さん嬉しいわ〜」


いきなり現れた見知らぬ男に真っ向から『母さんはじめまして、綱吉です。事故で未来から飛ばされちゃって(テヘッ)』などと宣われて『そうなの?大変ね』で済まされた親子の会話に耳を疑った。

それから綱吉は当然のようにかつての己の席に着き、久々の『おふくろの味』を堪能していた。
ちびたちは吸収が早く、ランボに至っては幾度となくこの姿の綱吉と面識があるため、話は早かった。


「うん!やっぱりこの味だよ」

「ふふ、ツッ君たらホッペにお弁当付いてるわよ」



一連のやり取りを見ていたリボーンだが、奈々の順応性の高さにただただ改めて感心していた。
しかしながら、リラックスしきった綱吉の表情を見ると嬉しい反面、何だか複雑でもある。

あと何年か先の未来、自分はこの温かい輪からツナを連れ出さなければならない。
一度渡伊してマフィアのボスとなれば、家族を捨てたも同然だ。下手に関わり合うことは大切な家族を危険に晒すことと等しいのだ。

目の前の綱吉は過去にその別れを経験しているからこそ、時代は違えど母との再会に心から喜んでいるのだろう。






夕飯の後、すぐさまちびたちにまとわりつかれた。きゃっきゃと元気にはしゃぐ子供たちと遊んでいたのだが、リボーンの不在に気付いて、二人を風呂に促しつつ自室に戻った。


「何拗ねてんだよお前」

「拗ねてなんかいねえぞ」


先に部屋に戻り本を読んでいたリボーンに、後ろから抱きついてみた。反応が薄い…やっぱ拗ねてるじゃん。



「ねぇ、一緒に風呂入ろう?」

「馬鹿言ってんじゃねえ。ガキじゃあるまいし」


まぁ却下されるのは分かってたけどね…。


「え、でもいつもそうしてるし…てか昔からお風呂一緒じゃん」


なんちゃって。
流石にバレる?
ああそれはだめだよ、少しだけど読心術回避できるもん俺。

お。リボーン今ちょっと動揺してる。



「てめぇ…人に見せられる身体かよ…」

「えー。そんなこと言ったってこれ、全部10年後のお前が付けたわけだし」



ランボやイーピンだったらまだしも、リボーン本人なら大丈夫でしょ?


「‥‥本当なのか?」

「何が?…あぁお前と俺が毎晩ラブラブイチャイチャ入浴タイムスーパースペシャルだって話が気になるの?」

「、てめぇイイ性格に育ってんな。つかスーパースペシャルって何だよ」



納得できず文句を言ってみるものの、俺は結局こいつに甘い。まあいいか、とか思っているなんて…。


「さっさとしろ、置いてくぞ」








綱吉とのお風呂タイムが以外と楽しかった…などとは絶対に知られたくない。

10年後の綱吉が来てからというもの、こいつの余裕な態度が気に障ってしかたない。
確かに歳は20以上違うが、こいつはダメツナで俺の生徒だ。一人で大きくなったみてぇに余裕ブッこきまくって……って何だ、このムカムカは。俺としたことが。

これほど自分のペースを乱されるなんて。







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