REBORN!

□Love, all of you
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リボーンと鉢合わせしないように少し早めに屋敷を出た。

何度も言うようだけど二人で出かけるのって本ッ当に久しぶりなんだ。なんかもう、一人で歩いてるだけでウキウキしてきちゃう。ヤバいよオレ、多分他から見て相当キモい奴になってる。

取り敢えず口元どうにかしよ…


待ち合わせした広場は街の中心部に位置していて、そこへ向かって店や道が集まるから人通りも多い。ましてや時計塔の下なんてオープンカフェの客や他の待ち合わせカップルなんかでとても賑やかだ。
よくリボーンが承諾してくれたよね。彼奴こういうガヤガヤしてるとこ本当好きじゃないから。それにほら、リボーンて目立つしお互い職業柄ね。


「……うっかりだった…」


あのさ、リボーンを追い出してから初めて気が付いたんだけど、オレだけスーツじゃマズイのかな…?
私服デートつっても彼奴の私服見るのが目的なわけだから、オレは別にスーツだろうがどうでもいいんだけどさ。

でも多分…否、確実にキレるよな。細かいとこでもちゃんと筋通さないと煩いからさリボーンて。
でもオレ、ここんとこ暫く仕事も忙しかったし元々あんまりオシャレとか興味ないから服もそんなに拘らないんだよ。だから悪いけど普通にTシャツにデニムにしといた。

あ、でもね、このTシャツはオレにしては珍しくどうしても欲しくて、わざわざ製造元まで問い合わせたくらい愛着があるお気に入りなんだ。
庶民派のオレとしてはTシャツなんかに勿体ない、ホント痛い買い物だったな。でもリボーンに言わせれば当然なんだって。


暇潰しにフラフラ散歩してたら広場の端の方で女の人が色めき立ってきた。リボーンだなアレ。彼奴来るといっつもこうだからすぐ分かるんだよ。
どこだろ、人だかりになって見えないや…




「…ぁ………、」











時計塔が一つ鐘を鳴らした。やっぱり時間通りだ。

















「どうしたツナ」




「…………」




「ツナ!」




「…はぃぃいっ!?」





びっくりしたぁ大声出すなよな。
えと…ちょっとごめん、何だろ。えっとちょっと待ってすげえアレだ…恥ずかしい!何かメチャクチャ恥ずかしい!!
ややや?変だよ顔見れない…止めろこっち見んな馬鹿!



「………行こう、」


どうしたらいいら分からなくって取り敢えずリボーンを意識しないように視界からどいてもらおうと歩きだした。そしたら『どうした?』なんて顔覗き込んでくるんだよ此奴。…本当困った。頼むから察しろよ。いや、やっぱ気付かないでいてくれ!

見慣れない姿にこんなドキドキしてるなんて馬鹿みたいだ。



「…ご飯何食べる?パスタでいいかな」


どうしてリボーンは何も喋ってくんないんだよ。
深呼吸して気を落ち着かせてから振り向いた。そしたらやっぱりリボーンがそこにいて。分かっていたのに恥ずかしい。どうしよう、普通に振る舞えないよ。


てか此奴どこのモデルなんだよ。本当、私服見たいなんて言うんじゃなかった。上手く歩けてるかな、オレ。どうしよ、何喋ろ、気まずいよどうしよう!!やだヤバいよ帰りたいっ



「ちったー静かにしてろ」

「…え?」

「垂れ流しだぞ全部。恥ずかしい奴だな」



はぅ…眩暈がしてきた。
此奴きっと確信犯だよな、分かるよだってニヤ付いてるもん。…良く見れなかったけど。


ごめん、リボーンの私服気になるよね?

えとね普通なんだよアイテム的には。なんだろ、サテン?なんかツルツルした1Bのジャケットと何巻きだか不明なストールにテーパードパンツ。それを…ブーツイン?うん、言ってしまえば普通なんだよ。ただ…


着てる奴が規格外の美形だってだけでね。







「食わねえのか?」

「……食べるよ、」


すげぇ後悔してる。
何でパスタにしたのかなオレ。ただでさえ妙に緊張して食べられないのによりによってこんな食べにくいやつを。しかもリボーンなんてカプチーノだけなんだよ?益々食べられないじゃん。



「…やっぱいい」

「は?」


は?とか言われても。だって食べられないものは食べられないんだもん。もやだ。帰りたいな。
動揺しちゃってこんなに上の空じゃ…リボーンだって楽しくないよなきっと。



「ハァ───…‥」



ついに溜め息吐かれた!
気まずい、気まず過ぎる。


「てめえさっきっから何でこっち見ねえんだ」


だって上手くできないんだもん。どうしたらいいか分からないもん!


「っせえ!口で喋りやがれ」

「だってっ!…恥ずかしい」

「何がだ」


心の中ダダ漏れのクセにわざわざ言わせるなんてどんだけ鬼畜なんだ此奴…


「ね、やっぱ着が…「俺様の私服姿が思った以上に格好良くてドキドキして恥ずかしくてどうすることもできないなら、そうと早く言やあいーじゃねえか」


「ッ!!…ばっ、馬鹿!何言ってん、ぶっ!?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ッハ!あはは、アハハハハハ」


ヒィッおっかしいっ!!
ヤバいよヤバい、笑い死ぬぅぅぅ。



「何笑ってんだてめえ死ぬか?」

「ふっ…ハァハァ、だってリボ、髭!髭生えてる!…ぶふぅっ!」



あんまり自意識過剰なこと言うから──当たってるけど──抗議しようとしたらリボーンに髭が生えてた。白いあわあわのやつが。




「チッ…だからって笑い過ぎだぞバカたれ」

「ごめんごめん。だってリボーン子供みた…っイテ!もう、直ぐ叩くの止めろよな」




ギャーギャーしちゃってお店には迷惑掛けたけど、そんなやり取りでなんか肩の力が抜けたんだ。



「リボーンて私服も格好イイね」

「…当たり前だ」




だから素直に言えた。
パスタも全部食べられたし、妙に緊張が解けて今まで無口だった分いっぱい喋った。

店を出るときリボーンがポケットからブラックガムを取り出したとき、オレはやっと此奴の気遣いに気が付いたんだ。
リボーンにはやっぱりエスプレッソが似合うよ。


でもありがとうなリボーン。デート、楽しくなりそうだね!










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