小鳥番外
(名前固定)
さて、ギルドにも慣れ始めたところで気になることがある。
「あ、ルーシィ。おはよう」
へらりと笑いながらギルドの扉を開け、入ってきたサフィア。
その対象というのが、彼女だ。
見れば今日も今日とて無数の生傷。
柔らかそうな陶磁の肌を彩るのは内出血の青紫。擦り傷からは赤が滲んで蒼の頭にはぷっくりとたんこぶが乗っかっている。
「ねえサフィア」
「なあに?」
くるりと振り向いたサフィア+α(子竜)の口には可愛らしい外形に似合わず、豪快に肉を頬張り、もっきゅもっきゅと口を懸命に動かしていた。
「……(かわいいだけになんか残念だわ…)」
「るーひ?」
今度はレタスを千切りシアルと一緒にもっきゅもっきゅ。
呆然とそれを眺めていたルーシィだったがふと我に帰って口を開いた。
「ね、サフィアは今日依頼とかあったの?」
「え、わたしは昨日も今日も依頼受けてないよ?」
稼いでるからね!余裕あるのと誇らしげに胸を張るサフィアとシアルをはいはいと受け流し核心へ。
「じゃあなんでいつも生傷絶えないの?」
ちょっと心配なんだけど。
サフィア大好きなあの単純ばかと露出狂は暇があれば彼女の手を引っ付かんで邪魔が入る前に逃げるようにクエストへと駆け出す。
当然返事は聞いてない(つまり無理矢理)ので無茶させられているのかと心配しているのだが。
彼女は突出した実力の持ち主であるから戦闘では滅多なことでは傷付かない。
ではなぜ。
そこまで考えて顔を上げる。まあるい蒼の瞳をさらに丸めたサフィア(レタス付き)がいた。
「…なにその顔」
「…ルーシィには言ってなかったけ」
「?」
「わたしってすごくどんくさくて」
よく転んだり落ちたりぶつけたり転んだりするの。
にっこりとそう言い切った。
…どん、くさい?
(ちょっとどんくさいだけでこうなるのかしら…)
(むぐむぐむぐ(肉))
(やっぱりあいつらが無茶を…!)
このあと彼女の言うことが本当なのだとわかるのはしばらく経ってから実際盛大にこけたサフィアを見たルーシィでした。